2018年9月17日セミナー開催報告②

病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応
~マッケンジー法の変法をご紹介~
講師 松本斉先生 壮快カイロプラクティック

■椎間板後方には知覚終末が密に分布


椎間板の後方には知覚終末という神経の端っこが沢山分布しています。整形外科の先生は知覚終末についてはあまり重視していないようですが、皆さんはご存知でしょうか。『標準整形外科学』にも説明が載っています。
知覚終末は全身にあるものですが、特に背骨の後ろに密に存在します。おそらくこれは背骨の後ろには脊髄が通っていて、その部分の重要度が高いからではないかと思っています。知覚終末は「この領域に刺激が入ったら情報を拾うぞ」という支配領域を持っているのでしょう。線維輪の亀裂に髄核がはまり込んで移動してきたときに、この刺激を侵害刺激としてひろって脳に伝えます。これが痛みやしびれという症状として出ていると考えています。

腰椎の椎間板変性のテストを練習
腰椎の椎間板変性のテストを練習

■神経を主体に考えると症状と符合する


セミナー前に「痛みとしびれでは、しびれの方が症状が取れにくいことはありませんか?」という質問をいただきました。しびれの症状を筋肉の問題として対処していると、おそらくはしびれは痛みよりも残ってしまいがちであろうと思います。
私の場合は、症状については元々が神経主体で考えています。痛みもしびれも、熱いも冷たいも、痒いも、いわゆる感覚というものは全て神経を通して何かしらの刺激が加わった結果として出ているものですから、神経からよくしていくことを考えればよいと。おそらくこれは素人の方でも「それはそうだよな」と納得していただける考え方だと思うんです。
実際、しびれや痛みを神経の問題として考えれば、この椎間板変性の理論にピントがあってきます。現場で治療を重ねていると患者さんはいろんなことを訴えます。痛みだけでなく、時に「熱く感じる」「冷たい」などと言われるときもあります。痛みも熱いも冷たいも、椎間板後方の知覚終末が刺激を拾って脳に伝えているから、と考えれば符合するわけです。

■髄核が後ろに移動する要因


症状はこの神経の部分を何とかするれば回復できてしまうことが多い。具体的にどうするのか? 理屈としては非常に簡単です。知覚終末が感じるエリアから髄核をどかしてしまえばいいんです。つまり髄核を押し戻すということ。これがマッケンジー法の目指しているところだろうなと私は想像しているんです。
そもそもなぜ髄核が後ろに移動するのか? このような姿勢(実演)が多すぎるからです。要するに屈曲位です。患者さんに説明する時は屈曲位といってもピンときませんから、患者さんの日常生活で例えてあげるとわかりやすいです。
例えばPCの仕事をしている人。私はこのように、背筋を伸ばして姿勢よく仕事している人というのは一人も知らないんですよ。だいたい皆さん、腰は丸まって座っています。モニターに向ってのぞき込むように顔は前に出ますから、頭も前に突き出た姿勢になります。
この姿勢の時は、下部頸椎も下部腰椎も全部屈曲位になっています。お辞儀するような前屈だけが屈曲位ではなく、椎間板にフォーカスすれば背骨が丸まった状態も屈曲位ということです。

頸椎の椎間板変性のテストを練習
頸椎の椎間板変性のテストを練習

■常に一方通行の負担にさらされる椎間板


屈曲位が多いと何がいけないのか? 屈曲位では椎体の前側が押しつぶされ前方の圧が高まります。圧力は高い方から低い方へ向かうという原則がありますから、椎間板内部でも髄核を前から後ろに押す力が働きます。屈曲位が多い反面、からだを反らすということは生活上ではほとんどない。椎間板は常に一方通行の負担にさらされているということです。髄核はいつも後方に押しやられますので、それで線維輪の後ろに向ってビリビリビリっと亀裂が入ってくるのだと考えます。これはほぼ100%、患者さんも「なるほど」と言っていただける説明です。
椎間板後方に亀裂が入りやすいことは、『標準整形外科学』では後方線維輪の脆弱性という言葉で表現されているんです。ですが私は組織的な脆弱性というよりも、亀裂が入りやすい要因は圧の偏りの方が割合としては多いのではないかと考えています。

姿勢について言及する松本先生 再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。
姿勢について言及する松本先生。再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。

■皆さんの感想


  • ふだんの臨床経験からの説明、非常にためになりました。
  • 今日はありがとうございました。マッケンジー法、いま一度思い出してやってみます。次回も楽しみにしています。
  • 理解が深まりました。ありがとうございました。
  • 説明が肝とおっしゃるだけあり、とてもわかりやすかったです。患者さんはどうなっているのかどうしたらいいのかわからなくて困っているのが一番で椎間板変性という一つのストーリーを示してくれることで「治るかもしれない」希望が出てくるのだなと感じました。どちらにせよ中が見えないものですからいかなるやり方にせよわかりやすくつながった理論は回復の大きな力になるのだと学びました。ありがとうございました。
  • どんな質問(意味のわからない?文脈に合わない事)でも嫌な顔一つせず、他の人にも役に立つ、話の流れにそった。話に持っていく事自体が「説明」を大切にする治療の一つ、良い例だと思いとても勉強になりました。

2018年9月17日セミナー開催報告①

病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応
~マッケンジー法の変法をご紹介~
講師 松本斉先生 壮快カイロプラクティック

セミナーの冒頭の模様をご紹介します!

■なぜマッケンジー法の変法か


本日のテーマの副題は「マッケンジー法の変法」です。なぜ変法なのか? 私は正規にマッケンジー法を学んだわけではありません。大川先生の著書『マッケンジーテクニック』(エンタプライズ刊)を読みこなし、さらに大川学院でのマッケンジーの授業、医学書の『標準整形外科学』、それぞれからヒントを得て自分でまとめて作ってきたのが今日の内容です。
ですから、例えば正規のマッケンジー協会主催のセミナーをご存知の方が見たら「これマッケンジー法じゃないよ」と言われても不思議ではないんです。それでも、大元の情報源はマッケンジー法の考え方ですから、あえて変法という位置付けにしてご紹介しようと思います。

日本カイロプラクティック医学協会(JACM)主催セミナー 「病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応」 ~マッケンジー法の変法をご紹介~ 講師の松本先生
講師の松本先生。講義は「椎間板整復法構築の経緯」「椎間板変性の説明と発生の仕組み(仮説)」「好発部位と部位別症状」「実際の治療の構成」など、実際に現場でおこなっている方法をわかりやすく解説。午後は実技練習もおこなった。

■腰痛の80%は原因不明?


近年テレビなどでいろんな健康関連の番組をやっていますが、そこで言われる医学会の常識、「腰痛の80%は原因不明」とされていることは皆さんもご存じかと思います。私は初めてそれを聞いた時「そんなに多くはないだろう」との実感を持ちました。なぜかと言いますと、当院には「病院で原因がわからなかった」という腰痛の方がとても多く来られていて、その大半は今日の椎間板へのアプローチで解決出来ているからです。
1年前に、この考えを裏付けようと当院の患者さんの記録(カルテ)、一部ではありますが約300人を無作為に引っ張り出し集計してみたことがあります。すると、腰痛が改善できていなかった人は2割程でした。
当院の腰痛患者さんが、医学界の常識としての原因不明の80%に含まれるとして、その8割は改善できているという実績があります。ですから、私は本当に原因不明の腰痛というのは4割程ではないのかという感覚を持っているんです。

■椎間板整復法(マッケンジー法の変法)構築の経緯


私は元々この治療業界にいたのではありません。以前は会社員を長くやっていて、2002年に大川学院に入学し、卒業する直前に「壮快カイロプラクティック」を開業しました。皆さんも経験がおありだと思うのですが、「学校で一通りいろんなことを習った」と。それで実際に現場に出て患者さんを前にしたけども「え! どうしたらいいの?」と戸惑ってしまった。そういうことがあったことと思いますが、実は私もそうでした。
開院当初はトリガーポイントセラピーをメインで施術していまして、患者さんの辛い体が楽になる、という経験はしていたんです。じゃあ、例えば腰が痛い人はそれで腰痛が治ったのかというと、治ってはいない。そういう方が多かった。
「なぜこんなことが起こるんだろうか?」。そう考えた時に「何か治療の軸となるものが欲しい」と思いました。その時は時間がいっぱいありましたから、早速勉強してきたことを振り返って本をひっくり返し、いろいろな情報を自分の中で組み立て直してみたんです。その中で「あ、こういうことだな!」と腰痛治療に関する気づきを得ました。
それから早速患者さんに、「仮説ですが、私は椎間板に原因があると推測しています。その考えのもとで施術すれば回復していく可能性があります」と説明し、ご協力いただく了解を得てこの方法を試してきました。おこなってくる中で軌道修正しながら出来上がったのが今日の椎間板整復法、つまりマッケンジー法の変法なのです。

午後は腰椎の椎間板へのアプローチも実演
午後は腰椎の椎間板へのアプローチも実演

■椎間板変性とは


私は多くの腰痛の原因は「椎間板変性」と考えているのですが、椎間板変性とはどういうものなのか? ひとことで言えば「椎間板ヘルニアに向っている途中」と私は定義しています。これは病院での、腰痛患者さんに対しておこなわれる検査との兼ね合いから選んだ結論です。
病院の検査というのは皆さんご承知のとおり、基本的に画像診断です。レントゲンかMRI検査、だいたいその辺りだと思うんですが、要するに「原因がわからなかった」=「画像では異常が見つからなかった」ということです。画像には出ないけど痛みやしびれなどの症状がある。これが、腰痛は80%が原因不明と言われる所以だと思うんです。
では、体の中では実際にはどういうことが起こっていると私は予想しているか。患者さんには今から実演するように、ホワイトボードに椎間板のイラストを描きながら解説しています。椎間板変性というのは(図を描きながら)、このように椎間板の前から後ろに対して亀裂が入り、その亀裂に髄核が移動してしまった状態、のことを指します。

椎間板のイラストを使ってわかりやすく説明
痛みやしびれが出るしくみを椎間板のイラストを使ってわかりやすく説明

2018年7月16日セミナー開催報告②

治し方は体が知っている!「ほんの少しの刺激を与えるだけの多次元操体法Ⅱ」「たわめ」と「釣り合い」
  講師 大内和幸先生 南福島整体院

■コンビニのアルバイトさんの話


感心することがありました。コンビニでお釣りをもらう時に、これが実践できている方がおられたんですね。若いので学生のバイトさんだと思うんですが、私が千円札を出し、お釣りをもらうために手を出しました。そしたらそのアルバイトさんはお釣りが手に渡ったのを確認してフワッと手を離されたんです。「えっ!この方出来てる!」と思いました。
たぶん、親のしつけや、または生まれ持ったものもあるとは思うんですが、このように出来ている方がいると私は感心するんですよ。年季の入った店員さんでしたら当然できなくちゃならないと思うんですが若い方がやられていますから。お店から出てくる時に思わず二度見してしまいました。
このように「やさしく触れる」というのは皆さんも出来ているとは思うんですが、あらためて日常生活から見直していただけるといいのではないかなと思います。

■「たわめ」と「釣り合い」


前回は「つま先上げ」や「膝倒し」、「足突き出し」という操法をやりましたが、その時、体が微妙にグーッとなったと思います。「捻じれ」ともいいますけど、これを「たわめ」というんです。例えば、竹でもいいんですが、このような針金で「たわめ」を説明するとどうなるか。この針金が体全体だと思って下さい。操法で負荷をかけた時、一番力が強くかかっているのはどこかというと、グーッと針金が曲がったところではなく、操体法の場合はこの全部にかかっているということなんです。
例えば「つま先上げ操法」をやった時、つま先からのエネルギーが体全体にグーッと伝わるためにはこの「たわめ」が必要です。そのためには「釣り合い」も要ります。

針金を例に「たわめ」を説明する大内先生
針金を例に「たわめ」を説明する大内先生

■「たわめ」による力は体全体に伝わる


「釣り合い」はクライアントさんとの「力比べ」ではないんです。「つま先上げ操法」では、上げたつま先に抵抗をかけますが、これがクライアントさんとの力比べになってしまうと、体はあっちこっちに動いて安定しなくなります。50:50の力ではなくなり、圧がかからなくなるんです。
「力比べ」ではなく、釣り合って安定しているときに「たわめ」が生じます。「たわめ」による力は体全体に伝わる。自分もこのことがわかるようになってから操法の精度がグンと上がりました。「もうちょっと圧が必要だな」「力がいるな」というのもわかってくるんです。最初は感じなくても、やっていると段々わかってきます。

■「釣り合った」だけで効く


これが通らないと操体法というのは意外と決まりません。でもこれが出来れば操体法を始めたばかりの方でもバーンと一気に変わっちゃう。これが操体法の面白いところです。
操体法には「下手は下手なりに上手くいく」ということわざがあります。素人の方がやってバーンと効いちゃうことがあるのは、変な思い込みがないからなんです。「ここに同じ力をかけて釣り合えばいいんだな」と、言われたことをちゃんとやって、釣り合っただけで効いちゃうんですよ。
いろいろ考えすぎると変な力が入る。だから無心がいいんです。「只々、釣り合う」「只々、寄り添う」。「寄り添う」というのは後ほど説明します。
「たわめ」が決まると圧がかかります。先ほどお話した「圧が外圧よりも高い時、エネルギーは内側に降り注ぐ」というテネモス理論です。エネルギー、回復力が体に発生するんだと思います。実技をやるときはこの「たわめ」と「釣り合い」ということを頭に入れてやってみてください。

■安心する触り方の実践


私がクライアントさんに触れる時に気をつけていること、やさしく触れるということですが、具体的には「小指から触る」ということです。
例えば、今から〇〇さんの肩に触ってみますので、どっちが安心感があるか感じてみてください。
「手全体で触った時と、小指から先に触った時、どちらが安心感がありましたか?」
「後の方です」
このように、小指から触られると人間の体というのは安心するんです。フワーッと触れることになりますから。これは検査でも施術でも何でもそうです。これも後ほど実技をする時は頭に入れておいてください。

■「寄り添う」とは


先ほど「寄り添う」と言いました。何か自分に嫌なことがあった時、アドバイスをもらうよりも、只々、傍にいて何も言わないんだけど寄り添ってくれる。ご夫婦の方は一番わかると思うんですけども、それが大事じゃないかなと思うんですね。
鈴木秀子さんという方をご存知の方はおられますか? シスターの方なんですが、この鈴木さんが書かれた本に『死にゆく者からの言葉』(文春文庫)というものがあります。人の死に対する本で、これは内容としては物凄く重いです。重いんですが、人の心に寄り添うとその方がどうなるか、ということが書かれています。
40代で癌にかかった方のエピソードが載っています。その方はキャリアウーマンで、これまで「自分は凄いんだ」と人を全然受け入れなかった方だったんです。鈴木さんもはじめは「嫌だな」と思ったそうです。その鈴木さんがその方に寄り添って、寄り添って、そしたらその方は亡くなる間際に心を開かれました。大粒の涙を流され翌日に亡くなられたと、そういう話が載っています。
自分はこの本を読んで「寄り添うというのはこういうことなんだな」とあらてめて実感し感動したんです。もし興味がある方は読んいただくと、人との接し方が変わってくるんじゃないかなと思います。
それではここからデモに入らせていただきます。

実際に症状がある参加者の方もモデルにデモンストレーション ビフォーアフターの変化をみてもらった
実際に症状がある参加者の方をモデルにデモンストレーション。ビフォーアフターの変化にご本人もびっくり!
膝倒し操法を練習する参加者の皆さん
膝倒し操法を練習する参加者の皆さん

■皆さんの感想


  • 本日はありがとうございました。2回目ということもあって自分でも理解できることも多くなったようです。次回も楽しみにしています。
  • 仙台の講習にも通っていますが、また大内先生の細やかな説明で一層深い気付きが出来ました。ありがとうございました。
  • 今回も大変興味深く楽しく学ぶことができました。前回受講していたおかげでよりスムーズに理解が進んだように思います。さっそく実践していきます!またよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  • 練習で自分の体調がよくなりました。ありがとうございました。
  • 今回で2回受講しましたがより深く理解できた気がします。今後も更に勉強していきたいと思います。時間と場所のタイミングが合えばよいのですが。
  • 明日から使える手技が学べました。
  • 少し本で勉強してまた参加できたらと思います。興味深いと思いました。
  • 今日はありがとうございます。勉強になりました。
  • 小さな動きで大きな変化を感じる幸せを頂けました。楽しい一時をありがとうございます。頑張って自分のものとして使わせてもらいますね。

2018年7月16日セミナー開催報告①

治し方は体が知っている!「ほんの少しの刺激を与えるだけの多次元操体法Ⅱ」「たわめ」と「釣り合い」
  講師 大内和幸先生 南福島整体院

セミナーの冒頭の模様をご紹介します!

■多次元操体法との出会い


まず私がなぜ多次元操体法と出会ったのか、ということをお話します。肘で押圧をかけていたところ、もう「肩が痛くて痛くて、仕方がない」ということがありました。「このまま続けていると仕事ができなくなる」という形になったんですね。
前々から押したり揉んだりしない施術方法も習っていたんですけども、「いよいよこれはどんどんシフトしていかなければならない」と思うようになりました。そこでいろいろ習っていた中で「あ、これだ!」と思ったのが多次元操体法でした。
多次元操体法というのは「仙台やすらぎの杜整体院」上川名修先生がやられているものです。上川名先生が元々ある操体法に、独自のアレンジを加え、技をより効きやすく安全にした療法です。一度伺わせていただき「なるほど、こういうこともあるんだな」と思いました。
その時は技にしか目がいかなかったんですが、皆さんも最初は「どんな技だろう」「技を覚えたら凄いだろうな」と考えるかと思います。しかし段々参加していく内に「技だけじゃないんだ」とわかるようになったんです。自分の、施術者の、心の内側にもいい影響が来たんですね。今日はそういった部分もお伝えしていきたいと思っています。

多次元操体法が技ありきではないことを説明する大内先生
多次元操体法との出会いや、多次元操体法が「技ありきではない」ことを説明する大内先生

■圧を体に与えるとエネルギーが発生する


セミナーのテーマに「たわめ」「釣り合い」という副題がありますが、これは何かというと、手技の中で「この両者が決まれば操法はバッチリ決まってくる」というものなんです。
前回「圧」というお話をテネモス理論ということで説明させていただきました。テネモス理論では「外圧よりも内圧が高まるとそこにエネルギーが発生する」と考えます。例えば、圧を加えた食品と加えない食品を同時に置いて腐り具合を見てみると、圧を加えた方が全然腐らないそうです。そのような理論を利用して、操体法では、圧を体に与えるとエネルギーが発生してよい効果が生まれると考えます。

■心の内側にも影響する


多次元操体法について先ほど心の部分ということを言いましたが、特に触れ方を大切にしています。体を雑に扱わないということです。大川学院では先輩方から口酸っぱく言われていますから、そういうことは大丈夫だと思うんですが、そうじゃないケースも他ではあるんです。
雑に扱われて嫌な感じを受けたことがある方が当院にいらっしゃることがあります。すると「ものすごく対応よかったです」「触れることによってものすごく安心しました」と言ってもらえるんです。そういう部分でも、その方の心の内側への効果が出てくるんじゃないかなと思うんです。今日はそのようなお話もさせていただければと思います。

■操体法が作られた経緯


まず操体法についてお話します。創始されたのは福島県会津出身の橋本敬三先生というお医者さんです。この橋本先生は「もっと人の体をよくする方法がないのだろうか」と民間療法の先生方から西洋医学以外のいろんなことを教えてもらったそうです。それらを寄せ集め、いろんなところを取り入れてアレンジして作ったのが操体法です。
ですから「これに似てる」「アレに似てる」「この技に似てる」というのがあるかもしれません。でもそれは当然なんです、寄せ集めて作ったものですから。世界を見渡せば同じことをやっている療法もあるかもしれません。

■治るということは元に戻ること


橋本先生の哲学の中で私が一番好きなのは『万病を治せる妙療法』という本で仰っている「大自然の原理として人間は誰でも健康で幸福に一生をおくれるようにちゃんと設計されている」というものです。「治るということは元に戻ることだ」とも仰っています。この文面、もの凄く私には響きました。操体法をやっている皆さんもきっとそうだと思います。
「こちらが何かしらやってあげよう」「治してあげよう」ではないんです。元のからだに戻ればよいのだから、そういうことをやってあげればいいんですね。
不健康というのはバランスが崩れているからですので、バランスがとれるようにしてあげればいいわけです。そこで大事になるのが「息・食・動・想」。息をすること、物を食べること、体を動かすこと、考えることのバランスです。

■痛みはからだに対するメッセージ


それから痛みに対する考え方。多次元操体法では「痛みというのは訳あって出ている」と考えます。「痛みはその方に必要な何かしらのメッセージである」と。訳あって出ているのだから、私たちがそれをとってしまうとその方は気づきを失うことになります。
もしかしたら違う他の病気になってしまうかもしれない。自分の健康に気をつけないで日々過ごしていれば、当然負担がかかってどんどん悪くなることだってあります。そのように考えて、体からのいろんなメッセージに気づき、自分の生活習慣、「息・食・動・想」を振り返っていただくといいと思うのです。
前回、田園調布、長田整形外科の長田夏哉先生の本をご紹介させていただいたのですが、長田先生も同じようなことを書いておられます。先ほど世界を見渡せば同じような療法があるかもしれないと言いました。上川名先生が痛みについてそのようなことを言っていたら、長田先生も同じような考えの本を出されたんです。
上川名先生がなんとなく気になってその本を読んでみたところ「自分と同じことを仰っておられる」と。あるところである思想が生まれれば、他のある場所でもそれと同じ思想が生まれることがあるんですね。
長田先生も上川名先生もそのようなお考えですから、引き合って、上川名先生が田園調布に行かれて、コラボするような形でセミナーをされたという経緯もあります。痛みに対してこのような考え方があるというのも是非、頭の中に入れておいてください。

■やさしく触れることで体は安心する


多次元操体法は技ありきではありません。例えば「やさしく触れる」ということを大事にします。「やさしく触れる」ことでクライアントさんの心の中に「安心していいんですよ」「頑張らなくていいんですよ」ということを無言のうちに伝えているんじゃないかなと思うんですね。
当院に「いろんなところに行ったけどもよくならない」という方が来られました。その方が3回目の来院の時、SLRやパトリックなどの検査をやろうとした時にボソッとこう言われたんです。「先生にはもの凄くフワッと触れて頂いていますから、体が安心するんですよ」と。
これは上川名先生が日頃仰っておられる「細胞が安心する触れ方」なんです。この時、この触れ方が実践できているんだな、と身に染みて思った次第です。

■「やさしい手」の作り方


この「やさしく触れる」触れ方というのは、実はこの大川学院で勉強していた時に、安藤先生(とごし銀座院)に一番最初に言われたことなんです。「やさしく触れるとこうなるんですよ」とはじめて教わったのが安藤先生でした。その後に、ある先生に教わり、次に上川名先生に繋がっていったという経緯があります。
やさしい触れ方をするには、やさしい手が必要ですね。ではそのやさしい手を作るにはどうしたらいいか、というのをやってみます。
これは日常生活の中で出来ます。いま私は紙をテーブルの上に置きました。このようにパッと離して物を置くのではなくて、用紙の角など部分がテーブルについたのをいったん確認し、それからフワッと置きます。こういう普段の物の扱い方だと思うんですよ。
物を取るにしてもザクッと取るんじゃなくて、一旦指をつけて、つけてからフワッと取る。戸を閉める時もバタンと音を立てて閉めるのではなく、2mmくらい手前でいったん止めてフワッと閉める。そのようなことが施術にも生きてくるんじゃないかと思うんです。
人の体を扱うためにはこのような繊細さも必要じゃないかと。人の体を雑に扱うというのは、物もそうですが自分の体に対しても普段からそう扱っているんじゃないかと思うんですね。

2018年3月21日セミナー開催報告②

「コアトレ」による姿勢改善セミナー
~体調とスタイルを改善するコンディショニングメソッド~
 講師 金近道純先生はちおうじみずき通り整体院

■「良い姿勢」の目安


「良い姿勢」の目安は、横から見た時に、耳たぶ、肩峰、胸郭中央、大転子、膝中央、くるぶしの少し前が垂直で、かつ一直線になることと言われています。きっと皆様の中にも「これらを意識して普段生活するようにしてくださいね」と指導されている方もおられるのではないでしょうか。実は当院の場合、現在はそのような指導はおこなっておりません。
例えば、「顎を引いて」「背筋を伸ばして」「腰のカーブを作って」「重心は真ん中に・・・」と言って「できました、これがいい姿勢です! これで生活して下さい」と言っても、クライアント様は出来ないんですよね。
ではどう考えるか?「こうすることが良い姿勢」というのではなく、「良い姿勢だと自然にこうなる」という風に捉えています。「いろいろな部分を意識しながらやっと正しく立てる」のではなく、何も意識しなくてもキチンと立てる。それを目指して体を整えていきます。

クライアントさんの姿勢の変化、before&afterも紹介

■姿勢の歪み


姿勢はなぜ歪むのか? 原因は筋肉のアンバランス、日常生活の中でのからだの使い方です。寝る、座る、立つ、歩く、それらの普段のクセにより「使い過ぎの筋肉」と「使えていない筋肉」が出てくる。これはメソッドをおこなっていくうえで重要な考え方です。
筋肉のアンバランスがある状態でどんなに形だけ姿勢を正そうとしても、その部分の負担が増すだけで、体にはまた力が入ってしまいます。
いろんなアンバランスがありますが、現代社会という意味でよくみられるのは「コアが使えず、背骨周りが緊張している」というパターンです。
コアについては後ほど詳しくお伝えします。今は簡単に腹部と捉えていてください。姿勢を正す時に、背筋をグッと伸ばして正す方が多いと思います。そうではなく体はお腹で支えるものなのです。しかしコアが使えていない方が多く、すると背骨のS字カーブも出来てきません。実演すると、コアが使えない姿勢というのはこのような感じです。腰が引けた姿勢になります。

コアが使えていないため腰が少し丸まってしまった姿勢。臨床ではよく遭遇するとのこと

■「使えていない」筋肉と「使い過ぎ」の筋肉


からだはコアと背骨だけで出来ているわけではありませんから、その他のところにも歪みの原因はあります。コア以外に「使えていない筋肉」の代表例としてまず思い浮かぶのは中殿筋後部。下肢を外旋させる筋肉です。脚をしっかり閉じておく内転筋群や腕の上腕三頭筋、背中の菱形筋もです。
逆に「使い過ぎている筋肉」の代表例は脊柱起立筋です。コアが働いていない分こちらが働かされてしまっているんですね。それから、背骨と脚をつなぐ大腰筋。立っている時も座っている時も使っている筋肉なので、使いすぎでカチカチに固まっているケースがよく見受けられます。

「コンディショニングメソッド」は有吉与志恵先生が確立。有吉先生の数ある著書の中でとくにお勧めなのが『コンディショニングスタートブック』と『正しい体幹トレーニング』。金近先生は、「機会があれば、一般社団法人 日本コンディショニング協会のワークショップも是非受けてみてください!」と皆さんに説明されていた。
午後はセルフでできるコンディショニングも体験。筋肉を整えることでからだが軽くなるのを実感した。

■参加された皆様の感想


  • クライアントさん向けにはもっと勉強しないとむずかしいと思いましたが、毎日自分のコンディションを整えることができそうです。ありがとうございました。
  • ドローイン以外の呼吸法がわかってよかったです。ガンバらないトレーニングも自分がやっている事に近いと思いました。
  • 実技中心で大変よかったと思います。
  • 興味はつきません。今度は病気を持っている人のためにあればいいなーって思います。
  • クライアント様に合ったものをいくつか取り入れたいと思いました。
  • リセットコンディショニングとアクティブコンディショニングの体の部位別で、レジュメがあるともっとわかりやすかったと思いますが、良かったです。
  • 鍛えるのではなく整える発想を運動指導施術に生かしたい。
  • 呼吸の仕方を深く勉強したいと思いました。強く押すだけでなくゆるめるのも大事だと思いました。
  • 烏口突起を押さえてのコンディショニングは即効性がありすごいです。
  • すべてのバリエーションを取り入れるのは難しいですが、自分の施術の要所要所に取り入れさせて頂きます。本日はありがとうございました。
  • 姿勢を気にしている患者さんは多く、施術の一部に取り入れたいと思います。患者さんの体の使い方が姿勢に履歴書となって表れているということに納得しました。筋肉が脳を表現する、まさにその通りだと思いました。患者さんの理解にも役立てられそうです。

2018年3月21日セミナー開催報告①

「コアトレ」による姿勢改善セミナー
~体調とスタイルを改善するコンディショニングメソッド~
 講師 金近道純先生はちおうじみずき通り整体院

皆さんそれぞれが姿勢改善に取り組んでいらっしゃると思います。当院ではどのように姿勢改善をおこなっているのか。今日は「コアトレ」という方法、このような考えでお客様に説明しながらやっています、ということをお伝えしたいと思います。

講師の金近道純(かねちか みちよし)先生。プロフェッショナルコンディショニングトレーナーの資格を持つ。「はちおうじみずき通り整体院」では姿勢を重視し、コンディショニングと整体を組み合わせ施術を提供している。

■当院の紹介


こちらが外観と内観です。このようなカラーで彩豊かになるようにしています。看板の左端に魚の「鯛」のマークがついています。これはいわれがありまして、皆さんの「こんな体になりたい」、「こんな風になりたい」、「こんな風にしたい」、「それらを当院は応援したい」ということで作りました。駄洒落です(笑)。そんな意味を込めて「鯛」にしております。時々「なんで金魚なんですか?」と言わるんですが、これは金魚ではありません。

「はちおうじみずき通り整体院」の外観と内観
左端には鯛のマークが!

■「コアトレ」の別名は「頑張らない運動」


「コアトレ」のお話をさせていただきます。「コア」についてはいろいろ考え方があります。姿勢改善もそうですが、私がやっていることは一つの方法として見て頂き、その中から少しでも皆様の参考になる部分があれば嬉しく思います。
皆さんは「コアトレ」と聞いてどう思われますか? 腹筋・背筋をガンガンやって体幹を鍛えていく、そのようなイメージはありませんか?
「コアトレ」は別名「頑張らない運動」とも言われます。頑張らずに体を整える。そうすることで体の調子、姿勢を改善していきます。この「筋肉を鍛えるのではなく整える」というのが一つのキーワードです。

午前中はプロジェクターを使った講義。「姿勢」や「コア」についてわかりやすい解説がおこなわれた。

■姿勢が歪んでいない人はいない


「姿勢」についてですが、姿勢というのは要は骨格が並んだものです。中心となるのが「背骨」。骨格には「筋肉」が付着しています。この筋肉が「重力に逆らって骨格を支えている」ということをまずは理解していただきたいと思います。
姿勢の良し悪しが体調に与える影響は大きいです。例えば猫背の人。こんな感じになります。

猫背を再現。姿勢はからだに影響を与えるが、全く姿勢が歪んでいない人はいない、とのこと。

頭が前に出ますので、肩周りの筋肉が過緊張し肩が凝ります。腰が丸まって腰椎の前弯が崩れ、腰が痛くなることがあります。胸郭が圧迫されるため呼吸は浅くなります。お腹の圧迫で血流が悪くなって内臓の働きも低下します。
このように体に影響を与える姿勢ですが、忘れずに必ず付け加えている説明もあります。それは「そもそも姿勢が歪んでない人はいないんですよ」ということ。実際当院では姿勢が歪んでない方を見たことがありません。ですから姿勢というのは「あなたの特徴、個性なんですよ」という風にもお伝えしています

■良い姿勢とは?


いわゆる「良い姿勢」というのは、筋肉や骨格にかかる負担が最も少ない姿勢と一般的に言われます。疲れにくく、動きやすい姿勢です。内臓が圧迫されにくいという事を考えれば、病気にもなりにくいとも言えます。このように「良い姿勢」は体にもよい影響を与えます。
具体的にはどの姿勢が「良い姿勢」なのか? 理想は正面から見ると背骨が真っすぐ。横から見ればきれいなS字の湾曲(生理的S字湾曲)をしている。繰り返しになりますが、姿勢が全く歪んでいないという人はいませんから、あくまでも理想です。
ご来院された方で「自分は姿勢がいい」と仰る方でも、背骨のS字カーブが出来ていなかったりすることがあります。ですので、考え方としては「少しでもよい方向に姿勢を改善していきましょう」ということで話をしていきます。

2018年2月12日セミナー開催報告

治療者に必要なコミュニケーションスキルとマインド
~患者さんやスタッフとの良い人間関係のために~
 講師 伊藤かよこ先生

⇑⇑⇑ 講師の伊藤かよこ先生。日本カイロプラクティック医学協会(JACM)では初のセミナー開催です。
「患者さんに伝えたいことがあるけどうまく言葉にできない」「伝えてみたけど伝わらない」、そのような時に役立つのが、今回学ぶ「コミュニケーションスキル(技術)」と「マインド」。
整体・カイロプラクティックの仕事はもちろんのこと、サービス業全般、家族、友人など、あらゆる人間関係でも応用できる内容と感じました。

⇑⇑⇑ コミュニケーションにもいろいろなレベルがあります。まずは「好感を持たれるコミュニケーション」の成立が必要。そのために、治療者として態度、姿勢はどうあるべきか? 大切な「マインド」のお話がありました。

⇑⇑⇑ 「スキルは本を読むだけでは身につきません!」とのこと。上達するには、手技を身につける時と同様、反復練習が必要です。今回は、4時間のセミナー中、9個のワークをおこないました。

⇑⇑⇑ それぞれが患者さん役、治療者役を演じ「ロールプレイ」をおこないました。ワークは毎回ペアを変えます。今日一日だけでも、皆さんの経験値はかなり高まったことでしょう。

⇑⇑⇑ 最初におこなったワークはこちら。皆さん普段通りに患者さんへの挨拶を実演されていましたが、好印象の方々ばかり。これはさすがでした。

⇑⇑⇑ 治療家に必要なのは「信頼関係を築く聴き方」。多くの人は、つい「しゃべりすぎてしまう」傾向があるとのこと。傾聴、つまり相手の話に耳を傾け続けることは意外と難しい!

⇑⇑⇑ 治療者が患者さんに与える影響は決して小さくありません。具体的な事例をもとに、治療者が気をつけるべき点を解説してくださいました。

⇑⇑⇑ 患者さんの話をお伺いするにしても、現実的には時間は限られています。そんな時に役立つのが「要約力」。お聞きした内容をまとめて一言で表現するのです。「この先生、きちんと聞いてくれていたんだ!」と思っていただけるだけでなく、患者さん自身も、自分の考えを整理するきっかけになって助かるそうです。

⇑⇑⇑ 圧巻だったのは伊藤先生の15分間のカウンセリングデモ。話しやすい雰囲気作りから、解決策へ導く質問の仕方まで、具体的な手法の一例を見せて頂けました。

■参加された皆様の感想


  • 本日はありがとうございました。「ワーク」と「講義」のバランスがとてもよかったです。またお願いします。
  • 今日はありがとうございます。勉強になりました。
  • 聞く事は大切。でも出来ていない自分。今日から前進だ。
  • 初めて伊藤先生に会ってお話させていただきましたが、オーラや包み込む雰囲気、伝える能力もすごいなぁと感心させられました。良好な人間関係を築いていきます。ありがとうございました!
  • 大変勉強になりました。実生活で応用してみようと思います。
  • ワークも豊富で楽しく参加できわかりやすかったです。今後とも楽しみにしています。
  • 是非とも又セミナーをお願いします。色々なアプローチ法を知りたいです。
  • 今日をずっと楽しみにしていました。とてもわかりやすくて、すぐに実践できる内容で、参加できてよかったです。今の自分がどんなコミュニケーションをしているのか実感できました。まずベビーステップとして、『一旦止まる』を始めます。ひとつひとつ丁寧に、自分自身と相手に向き合えそうです。ありがとうございました。
  • コミュニケーションという事にチェックする必要がたくさんあり、それをワークで皆で考えるというスタイルはとても面白かったです。又、心理学のデモはとても興味深く、とても面白く、もっと勉強してみたいと思いました。
  • 今まで気にしていたつもりでもうまくできてなかったことが再確認できました。施術の時だけでなく常にコミュニケーションを意識して練習をつみかさねることが大事だと思った。まずは妻とのコミュニケーションで練習します。大変ためになりました。ありがとうございました!

2017年10月9日セミナー開催報告/特別編/ウェイトトレーニングと体の使い方③

【内容】
 ■「身体動作トレーニング」
 ■スポーツでは「反動」を使う
 ■呼吸・反動を使い「全身」で立ち上がる
 ■トレーニングだから1回で出来なくてもよい

■「身体動作トレーニング」


皆さん、反動をつけて立ち上がってみましょうか。思いっきり反動をつけてみてください。どっちの立ち方が楽ですか?

呼吸も入れてみましょう。さっき呼吸、練習しましたね、鼻から吸って口からフッーと吐く。

「フーーーーーーッ」(イスから立ち上がる)
「フーーーーーーッ」(イスに座る)

どうですか? 反動つけた方が楽だった方? あまり変わんなかった方? たいていの方は楽なんじゃないですかね。

ウェイトトレーニングをやって「効かせ癖」がついている人も、「かばう動きの癖」がついている人も、あまり変わらないって考えています。じゃ、どう合理的な体の使い方を伝えればいいのか。「身体動作トレーニング」という言い方をしていますけども、こんな感じでいっしょに体の使い方を練習してるというのを次にやってみます。

■スポーツでは「反動」を使う


スポーツはどちらかというと「反動」を利用します。筋肉は立ち上がりの時、初動に必要なんです。ただそれ以降は筋肉のブレーキを外してあげないと動けなくなります

ボール投げる時に力いっぱい投げようと思ったら腕は振れないんです。振る時にちょっとだけ筋力は必要だけれども、後は実は「抜く」のがコツ。ゴルフのスウィングもそう。瞬間的には筋力を必要とするけど後は「流れを止めない」ようにします。

■呼吸・反動を使い「全身」で立ち上がる


日常生活の動きでもこれは同じです。
「腰が痛い」「腰が悪い」と思い込んでいる人、たいていイスから立ち上がるのがきついですよね。そんな時はさっきの呼吸を使いましょう。

まず1回吸って、「フーーーーーーッ」と吐きます、リラックスしながら。
2回目の呼吸の力、吸ってー、吐いて~で「スト―ン!」と立ちます。
頭を振って反動をつけて。なるべく筋力は使いません。

全身を使って1か所に集中させないようにします。ウェイトトレーニングは1か所に集中させるんです。体をかばっている人も1か所に集中しています。これを分散させます。

「フーーーーーーッ」(イスから立ち上がる)
「フーーーーーーッ」(イスに座る)

■トレーニングだから1回で出来なくてもよい


皆さん凄く軽くないですか! やっていると段々わかってきますよ。
何でもそうだけど1回で出来なくてもいいんです。1回で出来ないから回数やる価値がある。患者さんとこのような練習をすればいいんです。

おそらく強く腰やいろんなところに「不安を抱えている人」、「不合理な動きをする癖がついている人」はこれをすぐに理解することはできない。だから一緒にやるんです。何回も何回も時間かけて。出来なければ1ヶ月位のスパンでね。

それだけやっているとさすがに上手くなりますよ。「立ち上がるのはこんなに楽だったのか!」と患者さん自身が感じられたらそれでOK。もう自分の力で何でもできます。1回で何でも変えようとしないということ、トレーニングですからね。

2017年10月9日セミナー開催報告/特別編/ウェイトトレーニングと体の使い方②

【内容】
 ■「合理的な動き」を身につけるには
 ■うまく体を使うために「スキルトレーニング」を!
 ■体を「かばっている人」も非合理な動きをする

■「合理的な動き」を身につけるには


ウェイトトレーニングはあくまでも筋肉を太く強くするためにおこなうもの。だからそれ以外のことに体を使える状態にするにはスキルトレーニングも同時進行させていかないといけない。そうしないとなかなか「合理的な動き」というのは出来てこないんです。

「合理的な動き」とは何か?

しゃがむという動作にしてもスクワットでは「ジワーッ」と負荷をかけますが、「合理的な動き」では必要最低限の筋力で「スッ」としゃがみます。スクワットのように大腿四頭筋を意識して「いちいち効かせる」「いちいちきつい」ということはない。

立ち方もそう。体を前にゆすったり、ちょっとした反動を使って立ち上がる。自分でブレーキをかけながら「ギギギギ」って立ち上がるのと、リラックスして、ただ頭の反動や重みを利用して「スッ」と立ち上がるのとの違いです。

■うまく体を使うために「スキルトレーニング」を!


考え方が筋力重視になって「脚の筋肉をつければスッと立ち上がれるはず」と思っている人がいるけれども、実はそうじゃない。ウェイトトレーニングは非常にいいものなんですよ、さっきお話したように。それはそれでいいんだけれども、逆に体の動きを邪魔してしまうようであれば本末転倒かなと。

もし「ウェイトトレーニングをしているけどなかなかうまく体を使えない」という人がいたら「スキルトレーニング」、つまり「体の使い方」を教えてあげるといいですね。

今、皆さん椅子に座っていますよね。イスから立ち上がってみましょうか、一切反動を使わずに。グーッと脚に力を込めて脚の筋肉だけで立ってみてください。呼吸もあまりせずに。
しゃがむときも一緒、なるべく反動を使わずにやってみましょうか。
これが「効かせ癖」がついている人の体の動かし方です。

■体を「かばっている人」も非合理な動きをする


「効かせ癖」がついている人と特に連動するのは「かばっている人」です。
「腰が痛い」「膝が悪い」「股関節が痛い」など体に痛みがある人、あるいは体のどこかが悪いと思い込んでいる人。先ほどのウェイトトレーニングをしているかのような立ち方をすることが多くないですか? 「ウッウッウッ・・・」とこんな感じで。

これはさっきのスクワットの動きとあまり変わらないですよね。自分の体だけ持ち上げればいいのに何か重い物を担いでいる感じ。実際にはね、反動をつけた方が間違いなく楽なんですよ。

「いや、反動つけると腰が痛いんじゃないか・・・」って思うかもしれないですけど、よく考えてみてください。

2017年10月9日セミナー開催報告/特別編/ウェイトトレーニングと体の使い方①

昨今は健康維持のために、ウォーキングやジョギングを日課としてされている方、スポーツジムに通う方が増えました。施術者がトレーニングについて詳しいと、いろいろなケースでお役に立てそうです。

10月9日開催のセミナー「カラダの使い方を深める!」(講師 安藤崇先生)では、ウェイトトレーニングの「効かし癖」について説明がありました。

これは、知らず知らずのうちに陥りやすいウェイトトレーニングの弊害です。痛みなどで「体をかばってしまう」方に共通する体の使い方でもあります。

とごし銀座院では、「効かし癖」が身についている患者さんに対し、「システマ」「認知行動療法」のエッセンスを取り入れた「身体動作トレーニング」をおこないます。“楽に・合理的に動ける体”へと導くのです。その説明がなされているセミナーの模様を3回に分けてお届けします。

【内容】
 ■ウェイトトレーニングのことは知っておこう
 ■あえてきつく「非合理」に動かす
 ■トレーニングの弊害「効かし癖」

■ウェイトトレーニングのことは知っておこう


休憩中にウェイトトレーニングの話をしていたんですが、皆さんの中でスポーツジムに行って体を鍛えているという方はどれだけいらっしゃいますか?

私はウェイトトレーニングについては、知らないよりは知っておいた方がいいなと思っています。というのも、今これだけ健康がブームになっていて、ジムに通っているという方が患者さんでも多くなっているからです。

最近は「こういうトレーニングを教えてください」「今ジムでこういうことをやっているんですけどどうなんですかね?」などとジムに通っている患者さんから聞かれることも増えました。

ウェイトトレーニングというのは簡単にいうと筋肉に「負荷をかける」トレーニングです。バーベルを持ったりマシンを使ったり、後は自重ですね。自分の体の重みを生かしてトレーニングする。目的は筋肉を大きく強くすることです。

やったことがある人はわかると思いますけども、続けていると力は段々ついてきます。挙げられなかったものが挙げられるようになり、今までよりも見た目ががっちりして強くなった気がします。

おそらく患者さんたちもいろんな目的があってジムに行っているんだと思います。最近は女性の方も多いですよね、「腹筋を割りたい」「筋肉をつけたい」と言って。

■あえてきつく「非合理」に動かす


代表的なトレーニングにスクワットという運動があります。バーベルを担いだりマシンを利用して、グーッとゆっくり大腿四頭筋や大殿筋を意識しながら負荷をかけて鍛えていく。あえて「非合理」に体を動かすんですよ。

例えばしゃがむという動作があります。普通、人はこうパッとしゃがみますよね。でもスクワットはそうじゃない。あえてグーッとゆっくりしゃがむんです。

わざと筋肉が疲れるようにきつくしている。それは筋肉にストレスをかけたいから。ゆっくりと動かすのは血流を制限したいからです。皆さん、筋肉をグッと緊張させると血液の流れはどうなりますか?

悪くなりますよね。そういう状態を作って動かすから非常に辛いんです。

諸説あって、血流を制限させた方がストレスで代謝物が出て筋肉がつきやすいと。加圧トレーニングなんかもそうです、加圧ベルトで絞めて血流をあえて悪くする。このようにウェイトトレーニングというのは、あえてきついことをやるんだということを憶えておいてください。

■トレーニングの弊害「効かし癖」


患者さんの中には一生懸命このようなトレーニングをしている人も多いんだけれども、合理的ではない動きを体に憶え込ませているものだから、時に弊害が出てくることがあるんです。「効かし癖」というものです。

しゃがむんでも下にスッとしゃがめばいいのに「いちいち力を入れて」しゃがんでしまう。物を取るのでも「いちいち力を入れて」取ってしまう。

スポーツなんかでもそうです。トレーニングして筋肉がついて体重が増えたんだけれども「何かヘッドの周りが悪い」「うまく走れない」、そんな話を聞くことがあるんです。

なぜそうなるか? それはウェイトトレーニングの動きが合理的じゃないから目的が全然違うんですよ。