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2019年1月14日(月・祝)開催

2019年最新版!ネット集客で繁盛する院の作り方
講師 松下展平先生 (株式会社プロデュース・アクティビスト 代表取締役)

■内容


・2019年の今、患者さんが予約したくなるホームページの作り方
・HP以外からも集客をガンガン増やす「ネットの活用法」(ブログではありません)
・繁盛院を作るために絶対に計測しておくべき「数字」とは
・集客を増やすために「お金をかけるべきこと、お金をかけてはいけないこと」
・来てほしい症状の患者さんだけを集めるためにしておくべきこと
・2018年8月以降に起きたSEOの大変動で下がった順位を戻す方法
・SEOでホームページの順位を上げるよりも大切なこと
などなど。

ネットの流れは速く、2年前のノウハウは全く使えません。
もしあなたが集客でお困りであれば、ぜひこの機会に最新のノウハウを学びに来てください。
集客がうまくいかないのは、先生の責任ではありません。「やり方」「コツ」を知らないだけです。
できるだけ手間をかけずに集客を安定させて、本来やるべき技術の向上に時間とお金を使えるようにするために、2019年の今やるべきこと、やらなくてもいいことをまとめてお伝えさせていただきます。

松下展平先生 【治療院専門の集客・経営コンサルタント】
松下展平先生 【治療院専門の集客・経営コンサルタント】

■講師/プロフィール


松下展平(MATSUSHITA TENPEI)先生
株式会社プロデュース・アクティビスト 代表取締役
【治療院専門の集客・経営コンサルタント】
ネットとリアルを組み合わせた、すぐに効果の出る実践的な集客手法と、本質をとらえたアドバイスで、多くの治療家から支持されている。コンサル実績4000院以上、1人治療院から全国600店舗を展開するチェーン店まで、治療院に特化したコンサルタントとして多岐にわたり活躍している。また、全国1万店舗が登録する治療院に特化した口コミサイト「ヘルモア」や、治療院専門のHPシステム「セルフル」など様々なサイトを運営している。

松下先生が運営する 治療院専門のHPシステム「セルフル」
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治療院専門のHPシステム「セルフル」
カイロベーシック社から経営ノウハウ満載のDVDも発売中!
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■セミナー開催場所


大川グループ ケア・システムズ
日本カイロプラクティック医学協会 セミナースペース
東京都品川区東五反田1-6-3 いちご東五反田ビルB1F
TEL 03-3445-3895

■受講料


JACM会員…無料、非会員(学生・卒業生・一般)…1万円

■参加申込&お問合せ先


会員の皆様・・・JACM事務局のメールアドレス
一般の方・・・お問合せフォームをご利用ください。

■参加される方へ


事前のご予約をお願いします。
セミナー時のビデオ等での録音、録画は禁止しております。
当日の開場は10時20分~です。
受講料は当日ご来場時に受付にてお支払いをお願いいたします。

2018年10月8日セミナー開催報告

大川カイロプラクティックセンターとごし銀座院セミナー
「カラダの使い方を深める!」 
講師 安藤崇先生(とごし銀座院

■胸椎CMT編/学んだことを現場でどう使っているのか


今日は実技を中心にやっていこうと思います。当院でやっていることはいたってシンプルです。何かに特化しているということはなく、皆さんが大川学院で習ってきたことを十数年以上やってきています。学んだことを現場でどう使っているのか、それらを深く掘り下げてみたいと思います。今日は皆さんを当院のスタッフだと思って教えていきます。
まずCMT(関節操作)について。CMTを現場で使っている人いますか? 最近は使わない人も多いかと思います。僕も患者さん全員に使うわけではありませんが、効果が高いので必要な方には使っています。「恐い」という方に対し無理してやるということは決してありません。
なぜ今回CMTをテーマに含んだかというと、CMTというのは意外と練習する場が少ないし「習ったはいいけど忘れてしまった」という方も多いかと思ったからです。技術のコツといいますか、もう少し突っ込んだやり方を知ったら、皆さんもまた興味がわくのではないかなと。
実際の施術で使う、使わないは別としてCMTは出来た方がいいですね。他の手技も上手くなりますし、体の使い方が上達するからです。いろんなセミナーに出た時も役立つと思います。

講師の安藤崇先生(とごし銀座院)
講師の安藤崇先生(とごし銀座院)

■特異的(スペシフィック)なCMTの練習


CBTP(Crossed Bilateral Transverse Pisiform)という胸椎伸展方向の動きをつけるテクニックで練習してみましょう。大川カイロでは、CMTは「ズレを戻す」という考えではなく「動きをつける」という目的で使います。今回はどういう効果があるのかという治効理論はやりませんので、技の部分、手の使い方などをよく見ていてください。
胸椎の伸展CMTですと、皆さんだいたいの見当付けをして、2~3レベルまとめて動かしていることが多いと思います。ですが、今日は特異的(スペシフィック)にやります。一つのレベル、椎骨を狙う練習です。
大切なことはきちんと椎骨が捉えられているかどうかです。「聞いたことあるけど実際やってみたら出来ない」そのようなことがありませんか? 知識として「知っている」のと「出来る」のは別なんです。是非「出来る」ようになりましょう!

胸椎伸展方向の動きをつけるCMTを実演する安藤先生
胸椎伸展方向の動きをつけるCMTを実演する安藤先生

■「引く」イメージでスラストする


胸椎の伸展ですから、背中側から「押す」というイメージがあると思います。背中から押して「ボキッ」と音が鳴る(クラック)。これは僕の主観なのですが、「押す」というよりは「引く」という感じなんですよ。
例えば、T4(第4胸椎)の動きを回復したいと考えた時、T4の横突起に、両側の豆状骨を前腕を交差して当てます。コンタクトが出来たら「息を吸って下さい」「吐いて下さい」と呼吸を誘導します。呼気の時に、胸郭の遊びを取り除くため背中側から押しこんでいき、遊びが取り除けたらボディドロップを使ってスラスト(突発的な関節操作)します。このスラストの時に、一瞬「引く」んです。
具体的には「小さい素早い手首の背屈」です。まずは手だけで形と動きを練習してみましょう。
手首を背屈しMP関節を屈曲します。手は力まずにやわらかくしておく。そのまま前腕は動かさず、手首だけ素早く小さく背屈してみてください。繰り返します。出来ない人は練習が必要。この動きをスラストの時に使います。

まずは手だけで小さく素早く背屈する練習
まずは手だけで小さく素早く背屈する練習

■目に見えないところで技術は差が出てくる


この手の形はカイロプラクティックハンドといって、他の手技でも使います。たぶん毎日やっていないと難しいかもしれませんね。この動きがなくても、強く押せば椎骨は動いてクラックするんです。ですが僕たちは手技療法のプロ、やっぱりこの手は出来た方がいいです。何よりスラストのスピードが上がります。患者さんの負担も少ないです。
CMTで大事なのはスピードタイミングイメージ。背骨の椎間関節は何㎝も大きく動くものではありませんよね。ほんのちょっとの圧力でキャビテーション(クラック音がなる現象)が発生するわけですから。力任せではないこの小さな動きを、ボディドロップといかに合わせてスラストとしておこなうか。
外から見たらわからないくらいの手の動きです。イメージの中でこういう使い方をする、ということ。端からみて分かったらそれは動きが大きすぎます。
このような手の使い方をはじめ、技術というのは目に見えないところで差が出てくる。見た目が派手で「わっすごい!」というようなものばかりが技術じゃないんです。

脊柱模型を使って基本のフォームを確認
脊柱模型を使って基本のフォームを確認
側臥位の腰椎CMTも練習。一人一人見回ってチェックする安藤先生
側臥位の腰椎CMTも練習。一人一人見回ってチェックする安藤先生
ランバーロール(腰椎CMTのテクニック名)で標的となる関節に狙いを定めているところ
ランバーロール(腰椎CMTのテクニック名)で標的となる関節に狙いを定めているところ

■野球肘編/ニュースをみて不安が強くなる子もいる


最近、エンゼルスの大谷翔平投手が米国でトミー・ジョン手術を受けて成功したというニュースが出ていましたね。トミー・ジョン手術って皆さんもご存知ですか? 腱の移植をする手術です。人体の中で、なくても影響が少ないところ、例えば前腕の長掌筋腱などの一部を摘出して移植するんですが、成功率も高いと言われていて近年は受ける人も増えているそうです。100%じゃないでしょうけども、確かに競技に復活して活躍している人も多いですよね。
皆さんが対応している、野球などをやって肘が痛いという方はどうですか? 野球をやっている少年だったり、草野球で痛くなったという大人の方で「手術を考えている」という人はまずいないですよね。
トミー・ジョン手術は日本でも行われていて保険も効くらしく、レベルも高いと聞きました。僕の地元にある整形外科でもやっていました。僕は高校生に野球を教えているんですが、その中で肘が痛いという子がいます。当院に肘の痛みで野球少年が来院することもあります。その時は当然ですが、まず「手術した方がいい」などとは言いません。
僕が問題だなと思っているのは、トミー・ジョン手術がこれだけ話題になると、「僕も手術した方がいいのかな」と強く不安を感じてしまう人が増えることなんです。手術というのは最後の手段。まずは温存療法でいいんですよ。切羽詰まって選手生命がかかっている、などとプロの人は仕方ないですけどね。

■TPTは特に効果的!


僕が診ているほとんどの野球少年、青年は前腕の筋肉群や上腕二頭筋がパンパンに張っている、そのレベルで来院します。皆さんのところも同じだと思います。それくらいの症状であれば出来ることはいくつもあります
もし病院で剥離骨折という診断がついたのであれば、それは投げないで治癒を待つしかないんだけども、病院でもとくに原因がわからず肘が痛いという場合は、これはもう皆さんが得意とするTPT(トリガーポイントセラピー)をやってあげてください。これが一番効きます、間違いなく!
どのように手技をやっているかというと、基本は上腕骨内側上顆周辺ですが、いくつかポイントがあります。人によって張っている部分が違うので、いろいろ検査しながらやっていきますが、効率がいいのは肘を曲げた状態で前腕の回内・回外をしながら硬結を探し緩めていくこと。硬結を捉えると皆さん「痛たたっ・・・」と痛がります。「これで大丈夫?」と圧の強さを確認しながら進めていきます。
緩める方法は皆さんが大川学院で習った上肢のテクニック「UE」でもいいんですよ。これらをやってあげるだけで順調に回復して「随分最近いいです」と言ってもらえケースが多いですから。

野球肘への対応。前腕を回内・回外しながら硬結を探し筋緊張をリリース
野球肘への対応。前腕を回内・回外しながら硬結を探し筋緊張をリリース

■僕らに出来るのはケア


ただ、野球肘の場合、実際は投げるフォームに問題があることが多いです。加えて、その人の元々もっている身体的なもの、負荷がかかると硬くなりやすいなどの体質です。施術者が野球をやった経験があるのであればフォームの指導も出来ますが、そうじゃなければ僕たちに出来ることはやっぱりTPTです。
肘の外側が痛いというのはほとんどない。痛いのはたいてい内側。でも日常生活の動きは問題ない。よほどの重症でなければ、痛いのは投球の時だけです。重い物を持つのも意外と大丈夫なので、筋力トレーニングはどんどんやってもらって構わない。
これだけ医学が進歩していても野球肘は減らないですね。やっぱり、投球回数が多かったり、投げ方に問題があって変な力が肘にかかれば痛くなるのも当然なんです。だから僕らの出来ることは「ケア」なんです。

セミナーでは負担の少ない投球フォーム、ペットボトルを使った指導法も実演
セミナーでは負担の少ない投球フォーム、ペットボトルを使った指導法も実演

■心因的要素も考えた対応を


あまりにも肘の痛みが強いようであれば投球は休んでもらった方がいいんだけども、これもね、僕らは一方的に「やめなさい」とは言えないんですよ。例えばお医者さんから「〇ヶ月は投げちゃダメ」と言われれば、本人はかなり気持ちが凹みますからね。
心の中で休みたいと思っていても、自分に負けた気がするから休めないという子も多い。そこで他人から、例えば僕らのような人から「ちょっと休んでみたら? 後がよくなるから」というような感じで言ってあげると「じゃ、少し休んでみようかな」という気持ちに自らなれることがあります。このように「大丈夫だから」と話をしながら施術していると回復も早くなることがあります。
トレーニングは昔からあるグーパー運動、血流をよくするためにこれを沢山やらせるといいです。普通の腕立て伏せもできると思いますからどんどんやっていいと思います。ストレッチは痛くない範囲から。筋肉が硬くなっているのではじめは痛いと思いますから徐々に。
高校で野球の指導をして気づいたこと、思ったことですが、ほとんどの子は心因的な要因も強く働いている気がします。実際の損傷レベルよりも「痛い、痛い!」というのが蔓延するんですよ。一人「痛い!」と言い出すと、翌日から同じように「痛い!」という子が出てくる。不思議です。
腰痛だけでなく、痛みに関しては、心因的な要因というのは必ずいくらかの割合では含まれるんだろうなとあらためて思いました。

野球肘に対し、患部の血流をよくするためのグーパー運動はとくにお勧め。グー

野球肘に対し、患部の血流をよくするためのグーパー運動はとくにお勧め。パー
野球肘に対し、患部の血流をよくするためのグーパー運動はとくにお勧め。

■参加された皆さんの声


  • 骨格、関節に対し細やかなイメージを持って丁寧にアプローチしていくことの面白さを味わいました。そのことで筋肉や神経の緊張が効果的に緩むのが実感できました。ありがとうございました。
  • CMT(アジャストメント)は「なあなあ」でやっていた自分に気づけました。改めて脊椎のレベルに集中すると動かしたい関節を動かせました。
  • 内容の濃いセミナーありがとうございました。一番興味深いのは「ブリージングウォーク」(呼吸法を伴う歩き方の練習)でした。明日からすぐ使えそうなのでおこなってみたいと思います。
  • 「知っていると出来るは違う」。しっかりと出来るよう日々の行動を深く見ていきます。CMTを学ぶ機会がなかなかないのでとてもためになりました。
  • シンプルな手技を深く学ぶ発見がありました。ありがとうございました。
  • 最近CMTがしっかりやれていないのでとても勉強になりました。ポイントが絞られていて、すごくわかりやすい内容でした。やはり学院の基本は重要と思いました。
  • 基本的な体の使い方など学び直せました。CMT以外で頚椎を動かす方法など新しい技術も取り入れていきたいと思います。
  • 骨をイメージするという事忘れていました。普段CMTを使わなくなっているので、これから少しずつやっていこうと思いますが呼吸法も力を抜くのにとても良いと思っていますので、色々使わせて頂きます。
  • CMTの見直しも出来て、改めて一つ一つの動作のコツを教えていただけたのでわかりやすく勉強になりました。
  • トレーニングセンター(大川グループのスタッフ研修施設)に通う私でもトライしてみたいと思えました。何となくの練習ではなく、意識をして練習する事をやってみます。貴重なお時間ありがとうございました。

2018年9月17日セミナー開催報告

病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応
~マッケンジー法の変法をご紹介~
講師 松本斉先生 壮快カイロプラクティック

■なぜマッケンジー法の変法か


本日のテーマの副題は「マッケンジー法の変法」です。なぜ変法なのか? 私は正規にマッケンジー法を学んだわけではありません。大川先生の著書『マッケンジーテクニック』(エンタプライズ刊)を読みこなし、さらに大川学院でのマッケンジーの授業、医学書の『標準整形外科学』、それぞれからヒントを得て自分でまとめて作ってきたのが今日の内容です。
ですから、例えば正規のマッケンジー協会主催のセミナーをご存知の方が見たら「これマッケンジー法じゃないよ」と言われても不思議ではないんです。それでも、大元の情報源はマッケンジー法の考え方ですから、あえて変法という位置付けにしてご紹介しようと思います。

日本カイロプラクティック医学協会(JACM)主催セミナー 「病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応」 ~マッケンジー法の変法をご紹介~ 講師の松本先生
講義では「椎間板整復法構築の経緯」「椎間板変性の説明と発生の仕組み(仮説)」「好発部位と部位別症状」「実際の治療の構成」を解説。

■腰痛の80%は原因不明?


近年テレビなどでいろんな健康関連の番組をやっていますが、そこで言われる医学会の常識、「腰痛の80%は原因不明」とされていることは皆さんもご存じかと思います。私は初めてそれを聞いた時「そんなに多くはないだろう」との実感を持ちました。なぜかと言いますと、当院には「病院で原因がわからなかった」という腰痛の方がとても多く来られていて、その大半は今日の椎間板へのアプローチで解決出来ているからです。
1年前に、この考えを裏付けようと当院の患者さんの記録(カルテ)、一部ではありますが約300人を無作為に引っ張り出し集計してみたことがあります。すると8割は改善し、2割はこちらが改善と明確に記録する前に来院を中止された人(治ったからの可能性が高い)でした。
このように、当院の腰痛患者さんが医学界の常識としての原因不明の80%に含まれるとして、その8割は明らかに改善できているという実績がある。ですから、私は本当の原因不明の腰痛というのは4割程ではないのかという感覚を持っているんです。

■椎間板整復法(マッケンジー法の変法)構築の経緯


私は元々この治療業界にいたのではありません。以前は会社員を長くやっていて、2002年に大川学院に入学し、卒業する直前に「壮快カイロプラクティック」を開業しました。皆さんも経験がおありだと思うのですが、「学校で一通りいろんなことを習った」と。それで実際に現場に出て患者さんを前にしたけども「え! どうしたらいいの?」と戸惑ってしまった。そういうことがあったことと思いますが、実は私もそうでした。
開院当初はトリガーポイントセラピーをメインで施術していまして「患者さんの辛い体が楽になる」という経験はしていたんです。じゃあ、例えば腰が痛い人はそれで腰痛が治ったのかというと「治ってはいない」。そういう方が多かった。
「なぜこんなことが起こるんだろうか?」。そう考えた時に「何か治療の軸となるものが欲しい」と思いました。その時は時間がいっぱいありましたから、早速勉強してきたことを振り返って本をひっくり返し、いろいろな情報を自分の中で組み立て直してみたんです。その中で「あ、こういうことだな!」と腰痛治療に関する気づきを得ました。
それから早速患者さんに「仮説ですが、私は椎間板に原因があると推測しています。その考えのもとで施術すれば回復していく可能性があります」と説明し、ご協力いただく了解を得てこの方法を試してきました。おこなってくる中で軌道修正しながら出来上がったのが今日の椎間板整復法、つまりマッケンジー法の変法なのです。

午後は腰椎の椎間板へのアプローチも実演
午後は腰椎の椎間板へのアプローチも実演

■椎間板変性とは


私は多くの腰痛の原因は「椎間板変性」と考えているのですが、椎間板変性とはどういうものなのか? ひとことで言えば「椎間板ヘルニアに向っている途中」と私は定義しています。これは病院での「腰痛患者さんに対しておこなわれる検査」との兼ね合いから選んだ結論です。
病院の検査というのは皆さんご承知のとおり基本的に画像診断です。レントゲンかMRI検査、だいたいその辺りだと思うんですが、要するに「原因がわからなかった」=「画像では異常が見つからなかった」ということです。画像には出ないけど痛みやしびれなどの症状がある。これが腰痛は80%が原因不明と言われる所以だと思うんです。
では、体の中では実際にはどういうことが起こっていると私は予想しているか。患者さんには今から実演するように、ホワイトボードに椎間板のイラストを描きながら解説しています。椎間板変性というのは(図を描きながら)「椎間板の前から後ろに対して亀裂が入り、その亀裂に髄核が移動してしまった状態」のことを指します。

椎間板のイラストを使ってわかりやすく説明
痛みやしびれが出るしくみを椎間板のイラストを使って説明

■椎間板後方には知覚終末が密に分布


椎間板の後方には知覚終末という神経の端っこが沢山分布しています。整形外科の先生は知覚終末についてはあまり重視していないようですが、皆さんはご存知でしょうか。『標準整形外科学』にも説明が載っています。
知覚終末は全身にあるものですが、特に背骨の後ろに密に存在します。おそらくこれは背骨の後ろには脊髄が通っていてその部分の重要度が高いからではないかと思っています。知覚終末は「この領域に刺激が入ったら情報を拾うぞ」という支配領域を持っているのでしょう。線維輪の亀裂に髄核がはまり込んで移動してきた時に、この刺激を侵害刺激としてひろって脳に伝えます。これが痛みやしびれという症状として出ていると考えています。

 

腰椎の椎間板変性のテストを練習
腰椎の椎間板変性のテストを練習

■神経を主体に考えると症状と符合する


セミナー前に「痛みとしびれでは、しびれの方が症状が取れにくいことはありませんか?」という質問をいただきました。しびれの症状を筋肉の問題として対処していると、おそらくはしびれは痛みよりも残ってしまいがちであろうと思います。
私の場合は、症状については元々が神経主体で考えています。痛みもしびれも、熱いも冷たいも、痒いも、いわゆる感覚というものは全て神経を通して何かしらの刺激が加わった結果として出ているものですから、神経からよくしていくことを考えればよいと。おそらくこれは素人の方でも「それはそうだよな」と納得していただける考え方だと思うんです。
実際、しびれや痛みを神経の問題として考えれば、この椎間板変性の理論にピントがあってきます。現場で治療を重ねていると患者さんはいろんなことを訴えます。痛みだけでなく、時に「熱く感じる」「冷たい」などと言われるときもあります。痛みも熱いも冷たいも「椎間板後方の知覚終末が刺激を拾って脳に伝えているから」と考えれば符合するわけです。

■髄核が後ろに移動する要因


症状はこの神経の部分を何とかするれば回復できてしまうことが多い。具体的にどうするのか? 理屈としては非常に簡単です。「知覚終末が感じるエリアから髄核をどかしてしまえばいい」んです。つまり「髄核を押し戻す」ということ。これがマッケンジー法の目指しているところだろうなと私は想像しているんです。
そもそもなぜ髄核が後ろに移動するのか? このような姿勢(実演)が多すぎるからです。要するに屈曲位です。患者さんに説明する時は屈曲位といってもピンときませんから、患者さんの日常生活で例えてあげるとわかりやすいです。
例えばPCの仕事をしている人。私はこのように背筋を伸ばして姿勢よく仕事している人というのは一人も知らないんですよ。だいたい皆さん腰は丸まって座っています。モニターに向ってのぞき込むように顔は前に出ますから、頭も前に突き出た姿勢になります。
この姿勢の時は、下部頸椎も下部腰椎も全部屈曲位になっています。お辞儀するような前屈だけが屈曲位ではなく、椎間板にフォーカスすれば「背骨が丸まった状態も屈曲位」ということです。

頸椎の椎間板変性のテストを練習
頸椎の椎間板変性のテストを練習

■常に一方通行の負担にさらされる椎間板


屈曲位が多いと何がいけないのか? 屈曲位では椎間板の前側が押しつぶされて前方の圧が高まります。圧力は高い方から低い方へ向かう原則がありますから、椎間板内部でも「髄核を前から後ろに押す力」が働ます。「屈曲位が多い反面、からだを反らすということは生活上ではほとんどない」ので、椎間板は常に一方通行の負担にさらされているということです。髄核はいつも後方に押しやられます。それで線維輪の後ろに向ってビリビリビリっと亀裂が入ってくるのだと考えます。これはほぼ100%患者さんも「なるほど」と言っていただける説明です。
椎間板後方に亀裂が入りやすいことは『標準整形外科学』では後方線維輪の脆弱性という言葉で表現されているんです。ですが私は組織的な脆弱性というよりも、亀裂が入りやすい要因は圧の偏りの方が割合としては多いのではないかと考えています。

姿勢について言及する松本先生 再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。
姿勢について言及する松本先生。再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。

■参加された皆様の感想


  • 普段の臨床経験からの説明で非常に参考になりました。
  • マッケンジー法、いま一度思い出してやってみます。次回も楽しみにしています。
  • 理解が深まりました。ありがとうございました。
  • 「説明が肝」とおっしゃるだけありとてもわかりやすかったです。患者さんはどうなっているのか、どうしたらいいのかわからなくて困っているのが一番で「椎間板変性」という一つのストーリーを示してくれることで「治るかもしれない」との希望が出てくるのだなと感じました。どちらにせよ中が見えないものですから、いかなるやり方にせよ、わかりやすくつながった理論は回復の大きな力になると学びました。
  • セミナーの中でどんな質問に対しても嫌な顔一つせず、他の人にも役に立つよう、話の流れにそった話に持っていかれる事に感心しました。それ自体が「説明」を大切にする治療の一つ、良い例だととても勉強になりました。

講師の安藤先生へのインタビュー/10月8日開催「カラダの使い方を深める!」

■呼吸について


――安藤先生は呼吸法の指導を臨床に取り入れておられますが、クライアントさんによっては「指導が難しい」と感じる時はありませんか? 呼吸はすべての人がいつもおこなっているものだけに、その重要性についてピンと来る人、来ない人の差が大きい気がするからです。
安藤)
クライアントさんは難しいことを教わっても続きません。私は特別な難しい呼吸法を取り入れている訳ではないんです。呼吸の重要性についてピンと来ない方には、理屈よりも一緒に呼吸を使って動いてみること。「どれだけ楽に動けるか」を実感してもらうのが一番です。
呼吸に合わせて歩いてみる。呼吸しながら物を持ち上げてみる。指導というよりも一緒にやってみる、これにつきます。

――昨年のセミナーで実演されたように、「フーッ」と口から吐きながら、立ったり座ったり、歩くのですね。
安藤)
そうです。私が習っているシステマの呼吸はわかりやすくていいかなと思います。ただ鼻から吸って口から「フーッ」と吐くだけですから。

――システマ公認インストラクターの北川貴英先生も2014年1月のセミナーで、「わからなくなったら、とにかく鼻から吸って口から吐いて」と説明されていました。システマの呼吸はこのわかりやすさがよいですね。
安藤)
応用もいろいろあります。例えば、心身ともに強い緊張状態で、自分にかかる負荷が強い時はバーストブリージングという方法を使います。「フッ、フッ、フッ、フッ」と短く早く呼吸ようにするだけです。
呼吸についてはセミナー当日、「胸郭と脊椎と横隔膜の関係」「体の内圧を下げる」「呼吸によって余計な動きを省く」「呼吸で姿勢を整える」など、その重要性も併せて詳しく説明しようと思います。

■坐骨神経痛へのアプローチ


――来院される方の症状として多い、坐骨神経痛についてお尋ねします。例えば、脊柱管狭窄症と病院で診断され、殿部や脚のしびれ、痛みで来院された方に対してはどのようなアプローチをされますか?
安藤)
脊柱管狭窄症はご存知の通り、脊柱管内の変性ですので、手術する以外には変えることはできません。ここで大事なのは、そもそもその痛みは本当に脊柱管狭窄症によるものなのか? ということです。馬尾症候群などの症状が出ているなど、ごく僅かなケースを除いては手術の必要はありません。手術は最終手段、まずは保存療法でやってみましょうと。
間欠性跛行を例に挙げると、ほとんどの方は腰から脚にかけての筋緊張が強く、足に重りを付けているような歩き方をしています。こんな歩き方ならば誰でもきつくなって休み休みでないと歩けません。血流制限しながら歩いているようなものです。
手押し車などを利用すれば、手をつくことで物理的に負荷が減るのはもちろん、心理的にも安心感が得られます。結果、腰から下の緊張がやわらぎ、長距離の歩行が可能になります。

――心理面の緊張も症状を強くしているわけですね。
安藤)
改善していくためには筋緊張をやわらげる施術、歩行トレーニングとともに、「痛いけど大丈夫!」という自信を回復させることが大切なのです。実際、多くの方が時間の経過とともに少しずつ歩く距離を伸ばしてくれています。
ただ歩くことを目標にするのではないんです。「歩けたらまた旅行に行きたい」「ゴルフをやりたい」などの具体的な目標を立てること。そして一緒にその目標に向かうことが大切です。こちらも詳しくはセミナー当日にお話しします。

■セミナーの見所


――今回のセミナーは全般的にはどんな内容になりますか?
安藤)私セミナーは具体的なテーマを絞った方が分かりやすくていいのでしょうが、私自身これといったものがないので、手技、エクササイズ、身体動作、コミュニケーションについて地道にやる仕事を伝えていこうと考えています。
今回も特別なことがあるわけではありませんが、CMTについては少し突っ込んでするつもりです。関節操作が上手になると、筋肉の扱いも上手になりますし、よりカラダの動きを理解できると考えているからです。
質問、要望がおありでしたら、事前にJACM事務局までお問合せください。当日は多くの参加お待ちしております。

■野球部のトレーナー兼コーチに就任


――実践的な内容のセミナーになりそうで楽しみです。最後に、セミナー以外でも結構ですので、何かホットな話題がありましたらお聞かせ下さい。
安藤)
昨年から都立高校の硬式野球部の外部指導員としてトレーナー兼コーチを務めています。きっかけは、以前、大川学院で講師をされ、かつ、なかのぶ院(直営院)の院長としても活躍されていた高橋順先生からのお誘いです。高橋先生は現在、高校の教員をされており、硬式野球部の監督に就任されたのです。
私もいつか高校野球に関わりたいと思っていましたので、本当にいい機会に恵まれました。そんなに仕事も空けられないので週一回程度しか行けませんが、選手たちは喜んでくれているようです。逆にこちらが力をもらっています。野球理論、トレーニングもだいぶ変化しているようです。これから勉強して少しでも高橋監督の力になれたらなと思っています。

前回のセミナーの様子。手を当てて体に起きる変化を感じとる練習。参加者はこの後、互いに練習し合い感覚を研ぎ澄ませていった。
前回のセミナーの様子。手を当てて体に起きる変化を感じとる練習。参加者はこの後、互いに練習し合い感覚を研ぎ澄ませていった。

講師の松本先生へのインタビュー/9月17日開催「病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応」

■現代医学の盲点


――松本先生には2007年に「治療院経営講座」というテーマでセミナーをおこなっていただきました。今回は臨床のお話がメインになります。現在の治療家としての先生の考えをお聞かせ下さい。
松本
現代医療についてですが、細分化、専門特化しすぎて全体が見えなくなっていることが気になっています(だから私達が食べて行けるとも言えるのですが・・・)。
今回のセミナーにおける「椎間板変性」は、全体的視点があれば医師ならとっくの昔に気づくようなこと。例えば腰痛の場合、医療現場では常に「ヘルニア」か「異常なし」の2者択一に近い診断が出され続けている。このことは、腰痛=「ヘルニア」の視点だけで診断がなされているということで現代医療の盲点と言えるのではないでしょうか。だからこそ、せめて私たち治療家がクライアントさんに寄り添って行かないと患者さんたちは救われないと思う今日この頃です。

■手技療法家の存在価値


――辛いけれども「異常なし」と言われる。患者さんは現代医学が万能ではないことに気がつきます。
松本)
医師は“医学博士”すなわち科学者ですから、曖昧な理論では診断できないのだろうと思っています。例えば今回の「椎間板変性」の理論においても、すべてが画像で判別できるわけではありません。痛みを訴える患者さんの椎間板内部をすぐ確かめることができる方法は現場にはなく、あったとしても、線維輪1枚2枚程度の小さな傷は画像には写りません。「椎間板変性」を思い付いたとしても、医師の責任として曖昧な仮説は言えないのだろうと考えています。
しかし、苦しんでいるクライアントさんにとっては、仮説だろうと真実であろうと、求めているのは結果です。ですから、結果が出るのであれば、私たち手技療法家の存在価値はそこにあると思います。

――「結果が出せるかどうか」、ですね。
松本
私たちは医療従事者ではないからこそ、自由に仮説を立てることが出来る訳です。反面、インターネットの普及により、誰でも自由に情報発信ができるようになりました。情報が氾濫している今、本当のことが見分けにくくなっている面もあります。だからこそ私たちは、過大でも過少でもなく等身大の情報を発信しなければなりません。集客と言う面も含まれますが、患者さんの利益のためには情報を正しく発信する技術も向上しなければならないと思っています。

■しびれの方が痛みよりとれにくい?


――手技療法が適用になるという前提ですが、痛みとしびれについてご意見を伺います。臨床では、個人的には痛みに比べてしびれの症状、特に慢性化している場合はなかなかとれにくいという印象がありますが、先生のご経験ではいかがですか?
松本)私は痛みもしびれも「神経によって感じるもの」と考えています。温感や冷感、動作制限も同様です。「神経のどこかに何らかの刺激が伝わったものが痛みやしびれ」だと考えていますので、とくにしびれが取れにくいと感じることはありません。
痛みとしびれの両方が症状として出ている場合に、どちらかが先に止まることはあります。確かに痛みの方が先に止まる場合が多い気はしますが、逆もよくあります。
一般的に痛みの方が症状が取れやすいと思われている理由は、筋肉の問題としての対処をされているからではないでしょうか? トリガーポイントセラピーなど筋肉に対してアプローチしている場合、確かに神経にはアプローチしていませんから痛みの方が明らかに早く改善すると思います。しかし、痛みもしびれも「神経の問題」と考えるとその差はほぼ無くなります。差があったとしても、いずれ改善することなので、あまり気にしません。

――痛みもしびれも「神経の問題」としてとらえておられるのですね。
松本)坐骨神経痛を例に挙げると、下肢に痛みとしびれ両方が合併して出ているとします。これを「椎間板変性」の視点で考えると、椎間板から出た刺激(ヘルニアになる以前も含めて)が坐骨神経に伝わった結果なので、感じ方が違うだけで同じ原因の症状となります。ですからそれほど差が無いという事です。
私が症状を考える時に最も意識するのは、大まかな神経の支配領域です。ただ、学者ではありませんので、厳密な神経高位にはこだわりません。「症状は神経で感じている」という前提で考えた時、症状が出ている領域の神経を遡って確認すると、その高位の神経根のあたりの椎間板が傷んでいることが大変多いです。

■クライアントさんのリピートについて


――施術をしてセルフケアも試していただく。その経過を知るには一定期間、来院していただくことが必要。フィードバックの有無で施術の質の向上度合いは変わってくると思うからです。重要な「リピート」についてご意見をお聞かせいただけますか。
松本)リピートについては、今回のテーマである「マッケンジー法の変法」の場合、「椎間板変性」が前提です。椎間板は治りにくいことがキチンとクライアントさんに伝われば、治りたい人は必然的にリピートする、ということになりますし、そのように説明します。
しかし、クライアントさんの多くは保険が利かないこともあり、出来るだけ早く通院を止めたい本音がある方も多いです。ですからクライアントさんの意識を「症状の解決」から「解決後の健康維持」もしくは「予防」に振り向けることが出来れば、リピート回数は案外伸びます。これがクライアント教育だと思っています。
重症または不安が大きかった方ほど、「同じ思いをしたくない」という意識からかリピート回数が多い傾向があります。最終的には症状の有無でなく、健康であるために必要なものとして施術を提供出来れば、リピート対策は万全だと考えています。ですからそのための工夫を怠らないようにしないといけないと思います。

――なるほど、ご説明ありがとうございます。詳細は9月のセミナーということで楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

2018年10月8日(月・祝)開催

大川カイロプラクティックセンターとごし銀座院セミナー
「カラダの使い方を深める!」
 講師 安藤崇先生 とごし銀座院

JACMセミナー講師 安藤崇院長(とごし銀座院)
安藤崇院長(とごし銀座院)

世の中には様々な手技がありますが、私が伝えたいことは名前のついたテクニックではありません。応用出来るカラダの使い方です。今回も手技、エクササイズ、身体動作、コミュニケーションについてなど全てを含んで、地道にやる仕事を伝えていこうと考えています。
CMT(カイロプラクティックの関節操作、アジャストメント)についてはこれまでよりも少し突っ込んだ内容でおこないます。関節操作が上手になると、筋肉の扱いが上達し、カラダの動きもより理解できるようになるからです。
終了後は今現在されているお仕事が「より面白い」と思えるような楽しいセミナーにしたいと思います。皆様のご参加をお待ちしております!

■内容


呼吸を上手に利用する。
「システマブリージング」「呼吸で姿勢を整える」など。
「腰痛、下肢痛などで歩けない方」「間欠性跛行の方」へのアプローチ。
「投球での痛み」「肘の痛み」についての対処方法。
「CMTを深める」など。

頸椎の緩め方を実演する安藤院長。2017年のセミナーの様子。
頸椎の緩め方を実演する安藤院長。2017年のセミナーの様子。

MEMO

◎システマ ・・・ 実戦的格闘術として注目を集めるロシアの武術、軍隊格闘術。徹底した脱力と柔らかな動作が特徴。
◎システマブリージング ・・・ システマで使われる呼吸法。呼吸をすることでリラックスして体や心を解放しその能力を最大限に引き上げる。一番の効果は「恐怖心をコントロールすること」ともされている。
◎間欠性跛行 ・・・ しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じ、少し休むとまた歩けるようになる症状。
関節操作が上手になると、筋肉の扱いも上手くなります。
関節操作が上手になると、筋肉の扱いも上手くなります。
胸椎屈曲CMT(チェスタードロップ)を実演しているところ
胸椎屈曲CMT(チェスタードロップ)を実演しているところ

■講師/プロフィール


安藤 崇先生
2001年 大川カイロプラクティックセンター五反田院院長
2002年 大川カイロプラクティックセンター逗子院院長
2003年~大川カイロプラクティックセンターとごし銀座院院長
大川カイロプラクティック専門学院 テクニック講師
JACM認定カイロプラクター
全国柔整鍼灸協同組合 カイロ&オステ研究会講師

■院の所在地


大川カイロプラクティックセンターとごし銀座院
東京都品川区戸越2-1-4 タウンプラザ1階
TEL:03-3788-0718

安藤院長ととごし銀座院のスタッフの皆さん

セミナー開催場所


大川グループ ケアシステムズ
日本カイロプラクティック医学協会 セミナースペース
東京都品川区東五反田1-6-3 いちご東五反田ビルB1F
TEL 03-3445-3895

受講料


JACM会員…無料、非会員(学生・卒業生・一般)…1万円

■参加申込&お問合せ先


会員の皆様・・・JACM事務局のメールアドレス
一般の方・・・お問合せフォームをご利用ください。

■参加される方へのお願い


  • 事前のご予約をお願いします。 申込者多数の場合は先着順とさせていただきます。
  • 当日は動きやすい服装でお越しください。
  • スペースの都合上、大きな荷物などは控えていただきますと幸いです。
  • お着替えが必要な場合はお手洗いをご利用ください。
  • セミナー時のビデオ等での録音、録画は禁止しております。

2018年7月16日セミナー開催報告

治し方は体が知っている!「ほんの少しの刺激を与えるだけの多次元操体法Ⅱ」「たわめ」と「釣り合い」
  講師 大内和幸先生 南福島整体院

■多次元操体法との出会い


まず私がなぜ多次元操体法と出会ったのか、ということをお話します。
肘で押圧していたところ、もう「肩が痛くて痛くて仕方がない」ということがありました。「このまま続けていると仕事ができなくなる」という形になったんですね。
前々から押したり揉んだりしない施術方法は習っていたんですけど「いよいよこれはどんどんシフトしていかなければ」と思うようになりました。そこでこれまで習ってきた中で「あ、これだ!」と思ったのが多次元操体法でした。
多次元操体法というのは「仙台やすらぎの杜整体院」上川名修先生がやられているものです。上川名先生が元々ある操体法に独自のアレンジを加え、技をより効きやすく安全にした療法です。一度伺わせていただき「なるほど、こういうこともあるんだな」と思いました。
その時は技にしか目がいかなかったんです。皆さんも最初は「どんな技だろう」「技を覚えたら凄いだろうな」と考えるかと思います。しかし段々参加していく内に「技だけじゃないんだ」とわかるようになりました。自分の、施術者の「心の内側」にもいい影響が来たんですね。今日はそういった部分もお伝えしていきたいと思っています。

多次元操体法が技ありきではないことを説明する大内先生
多次元操体法が「技ありきではない」ことを説明する大内先生

■圧を体に与えるとエネルギーが発生する


セミナーのテーマに「たわめ」「釣り合い」という副題がありますが、これは何かというと、手技の中で「この両者が決まれば操法はバッチリ決まってくる」というものなんです。
前回「圧」というお話をテネモス理論ということで説明させていただきました。テネモス理論では「外圧よりも内圧が高まるとそこにエネルギーが発生する」と考えます。例えば、圧を加えた食品と加えない食品を同時に置いて腐り具合を見てみると、圧を加えた方が全然腐らないそうです。
そのような理論を利用して、操体法では圧を体に与えるとエネルギーが発生してよい効果が生まれると考えます。

■心の内側にも影響する


多次元操体法について先ほど「心の部分」ということを言いましたが、特に触れ方を大切にしています。体を雑に扱わないということです。大川学院では先輩方から口酸っぱく言われていますから大丈夫だと思うんですが、そうじゃないケースも他ではあるんです。
雑に扱われて嫌な感じを受けたことがある方が当院にいらっしゃることがあります。すると「ものすごく対応よかったです」「触れることによってものすごく安心しました」と言ってもらえます。そういったところでも、その方の心の内側への効果が出てくるんじゃないかなと思うんです。

■操体法が作られた経緯


操体法についてお話します。創始されたのは福島県会津出身の橋本敬三先生というお医者さんです。橋本先生は「もっと人の体をよくする方法がないのだろうか」と民間療法の先生方から西洋医学以外のいろんなことを教えてもらったそうです。それらを寄せ集めて、いろんなところを取り入れてアレンジして作ったのが操体法です。
ですから「これに似てる」「アレに似てる」「この技に似てる」というのがあるかもしれません。それは当然なんです。寄せ集めて作ったものですから。世界を見渡せば同じことをやっている療法もあるかもしれません。

■治るということは元に戻ること


橋本先生の哲学の中で私が一番好きなのは『万病を治せる妙療法』という本で仰っている「大自然の原理として人間は誰でも健康で幸福に一生をおくれるようにちゃんと設計されている」というものです。「治るということは元に戻ることだ」と仰っています。この文面、もの凄く私には響きました。操体法をやっている皆さんもきっとそうだと思います。
「こちらが何かしらやってあげよう」「治してあげよう」ではないんです。元のからだに戻ればよいのだから、そういうことをやってあげればいいんですね。
「不健康というのはバランスが崩れている」のですからバランスがとれるようにしてあげればいい。ここで大事になるのが「息・食・動・想」。息をすること、物を食べること、体を動かすこと、考えることのバランスです。

■痛みはからだに対するメッセージ


痛みに対する考え方。多次元操体法では「痛みというのは訳あって出ている」と考えます。「痛みはその方に必要な何かしらのメッセージである」と。理由があって出ているのだから、私たちがそれをとってしまうとその方は気づきを失うことになります。
もしかしたら違う他の病気になってしまうかもしれない。自分の健康に気をつけないで日々過ごしていれば、当然負担がかかってどんどん悪くなることだってあります。そのように考えて、体からのいろんなメッセージに気づき、自分の生活習慣「息・食・動・想」を振り返っていただくとよいと思うのです。
前回、田園調布、長田整形外科の長田夏哉先生の本をご紹介させていただいたのですが、長田先生も同じようなことを書いておられます。世界を見渡せば同じような療法があるかもしれないと言いました。上川名先生が痛みについてそのようなことを言っていたら、長田先生も同じような考えの本を出されたんです。
上川名先生がなんとなく気になってその本を読んでみたところ「自分と同じことを仰っておられる」と。あるところである思想が生まれれば、他のある場所でもそれと同じ思想が生まれることがあるんですね。
長田先生も上川名先生もそのようなお考えですから、引き合って、上川名先生が田園調布に行かれて、コラボするような形でセミナーをされたという経緯もあります。痛みに対してこのような考え方があるというのも是非、頭の中に入れておいてください。

■やさしく触れることで体は安心する


「多次元操体法は技ありき」ではありません例えば「やさしく触れる」ことを大事にします。「やさしく触れる」ことでクライアントさんの心の中に「安心していいんですよ」「頑張らなくていいんですよ」ということを無言のうちに伝えているんじゃないかなと思うんですね。
当院に「いろんなところに行ったけどもよくならない」という方が来られました。その方が3回目の来院時、SLRやパトリックなどの検査をやろうとした時にボソッと言われたんです。「先生にはもの凄くフワッと触れて頂いていますから、体が安心するんですよ」と。
これは上川名先生が日頃仰っておられる「細胞が安心する触れ方」です。「この触れ方が実践できているんだな」と身に染みて思った次第です。

■「やさしい手」の作り方


この「やさしく触れる」触れ方というのは、実は大川学院で勉強していた時に安藤先生(とごし銀座院)に一番最初に言われたことなんです。「やさしく触れるとこうなるんですよ」とはじめて教わりました。その後に、ある他の先生に教わり、次に上川名先生に繋がっていったという経緯があります。
やさしい触れ方をするにはやさしい手が必要ですね。ではそのやさしい手を作るにはどうしたらいいかやってみます。
これは日常生活の中で出来ます。いま私は紙をテーブルの上に置きました。このようにパッと離して物を置くのではなくて、用紙の角など部分がテーブルについたのをいったん確認し、それからフワッと置きます。こういう普段の物の扱い方だと思うんですよ。
物を取るにしてもザクッと取るんじゃなくて、一旦指をつけて、つけてからフワッと取る。戸を閉める時もバタンと音を立てて閉めるのではなく、2mmくらい手前でいったん止めてフワッと閉める。そのようなことが施術にも生きてくるんじゃないかと思うんです。
人の体を扱うためにはこのような繊細さも必要じゃないかと。人の体を雑に扱うというのは、物もそうですが自分の体に対しても普段からそう扱っているんじゃないかと思うんですね。

■コンビニのアルバイトさんの話


感心することがありました。コンビニでお釣りをもらう時に、これが実践できている方がおられたんですね。若いので学生のバイトさんだと思うんですが、私が千円札を出し、お釣りをもらうために手を出しました。そしたらそのアルバイトさんはお釣りが手に渡ったのを確認してフワッと手を離されたんです。「えっ!この方出来てる!」と思いました。
たぶん、親のしつけや、または生まれ持ったものもあるとは思うんですが、このように出来ている方がいると私は感心するんですよ。年季の入った店員さんでしたら当然できなくちゃならないと思うんですが若い方がやられていますから。お店から出てくる時に思わず二度見してしまいました。
このように「やさしく触れる」というのは皆さんも出来ているとは思うんですが、あらためて日常生活から見直していただけるといいのではないかなと思います。

■「たわめ」と「釣り合い」


前回は「つま先上げ」や「膝倒し」「足突き出し」という操法をやりましたが、その時、体が微妙にグーッとなったと思います。「捻じれ」ともいいますけど、これを「たわめ」というんです。例えば、竹でもいいんですが、このような針金で「たわめ」を説明するとどうなるか。この針金が体全体だと思って下さい。操法で負荷をかけた時、一番力が強くかかっているのはどこかというと、グーッと針金が曲がったところではなく、操体法の場合はこの全部にかかっているということなんです。
操法でエネルギーが体全体にグーッと伝わるためにはこの「たわめ」が必要です。そのためには「釣り合い」も要ります。

針金を例に「たわめ」を説明する大内先生
針金を例に「たわめ」を説明する大内先生

■「たわめ」による力は体全体に伝わる


「釣り合い」はクライアントさんとの「力比べ」ではありません。「つま先上げ操法」では、上げたつま先に抵抗をかけますが、これがクライアントさんとの力比べになってしまうと、体はあっちこっちに動いて安定しなくなります。
「力比べ」ではなく、双方の力が釣り合って安定しているときに「たわめ」が生じます。「たわめ」による力は体全体に伝わる。自分もこのことがわかるようになってから操法の精度がグンと上がりました。「もうちょっと圧が必要だな」「力がいるな」というのもわかってくるんです。最初は感じなくても、やっていると段々わかってきます。

■「釣り合った」だけで効く


これが通らないと操体法は決まりません。でもこれが出来れば操体法を始めたばかりの方でもバーンと一気に変わっちゃう。これが面白いところです。
操体法には「下手は下手なりに上手くいく」ということわざがあります。素人の方がやってバーンと効いちゃうことがあるのは、変な思い込みがないからなんです。「ここに同じ力をかけて釣り合えばいいんだな」と、言われたことをちゃんとやって、釣り合っただけで効いちゃうんですよ。
いろいろ考えすぎると変な力が入る。だから無心がいいんです。「只々、釣り合う」「只々、寄り添う」。「寄り添う」というのは後ほど説明します。
「たわめ」が決まると圧がかかります。先ほどお話した「圧が外圧よりも高い時、エネルギーは内側に降り注ぐ」というテネモス理論です。エネルギー、回復力が体に発生するんだと思います。実技をやるときはこの「たわめ」と「釣り合い」ということを頭に入れてやってみてください。

■安心する触り方の実践


私がクライアントさんに触れる時に気をつけていること、やさしく触れるということですが、具体的には「小指から触る」ということです。
例えば、今から〇〇さんの肩に触ってみますので、どっちが安心感があるか感じてみてください。
「手全体で触った時と、小指から先に触った時、どちらが安心感がありましたか?」
「後の方です」
このように、小指から触られると人間の体というのは安心するんです。フワーッと触れることになりますから。これは検査でも施術でも何でもそうです。これも後ほど実技をする時は頭に入れておいてください。

■「寄り添う」とは


先ほど「寄り添う」と言いました。何か自分に嫌なことがあった時、アドバイスをもらうよりも、只々、傍にいて何も言わないんだけど寄り添ってくれる。ご夫婦の方は一番わかると思うんですけども、それが大事じゃないかなと思うんですね。
鈴木秀子さんという方をご存知の方はおられますか? シスターの方なんですが、この鈴木さんが書かれた本に『死にゆく者からの言葉』(文春文庫)というものがあります。人の死に対する本で、これは内容としては物凄く重いです。重いんですが、人の心に寄り添うとその方がどうなるか、ということが書かれています。
40代で癌にかかった方のエピソードが載っています。その方はキャリアウーマンで、これまで「自分は凄いんだ」と人を全然受け入れなかった方だったんです。鈴木さんもはじめは「嫌だな」と思ったそうです。その鈴木さんがその方に寄り添って、寄り添って、そしたらその方は亡くなる間際に心を開かれました。大粒の涙を流され翌日に亡くなられたと、そういう話が載っています。
自分はこの本を読んで「寄り添うというのはこういうことなんだな」とあらてめて実感し感動したんです。もし興味がある方は読んいただくと、人との接し方が変わってくるんじゃないかなと思います。
それではここからデモに入らせていただきます。

実際に症状がある参加者の方もモデルにデモンストレーション ビフォーアフターの変化をみてもらった
実際に症状がある参加者の方をモデルにデモンストレーション。ビフォーアフターの変化にご本人もびっくり!
膝倒し操法を練習する参加者の皆さん
膝倒し操法を練習する参加者の皆さん

■皆さんの感想


  • 本日はありがとうございました。2回目ということもあって自分でも理解できることも多くなったようです。次回も楽しみにしています。
  • 仙台の講習にも通っていますが、また大内先生の細やかな説明で一層深い気付きが出来ました。ありがとうございました。
  • 今回も大変興味深く楽しく学ぶことができました。前回受講していたおかげでよりスムーズに理解が進んだように思います。さっそく実践していきます!
  • 練習で自分の体調がよくなりました。ありがとうございました。
  • 明日から使える手技が学べました。
  • 少し本で勉強してまた参加できたらと思います。興味深いと思いました。
  • 小さな動きで大きな変化を感じる幸せを頂けました。楽しい一時をありがとうございます。頑張って自分のものとして使わせてもらいますね。

講師の大内先生へのインタビュー②/7月16日開催「ほんの少しの刺激を与えるだけの多次元操体法 Ⅱ」

■やさしく触れる


――操法は体だけでなく心にもアプローチしている?
大内)
「からだとこころ」とよくいわれるように両者は別々のものではありません。ご来院される皆様は、はじめは体のどこかに不調和をかかえて来院されますが、私はからだの症状だけでなく「こころ」にもアプローチしています。

――具体的には?
大内)
「やさしく触れる」ことです。そうすることで、言葉には出さなくても「こころ」の領域に「大丈夫ですよ」と語りかけることが出来ると思うのです。無意識下でからださんに「やさしく丁寧に扱われている」との安心感を感じていただけます。多次元操体法を開発された上川名先生は、これを「細胞が安心する触れ方」と仰います。
「体の全身あちこちに痛みが飛ぶ」という慢性的に体の調子が悪かった女性クライアント様が当院にいらっしゃいました。現在は調子が良くなってメンテナンスで通院されているのですが、その方はそのからだの状態を、当初、放置していたわけではないんです。何件もの整体、整骨院に通われ、その後、当院に来られたのですが「やさしく触れてもらって体が安心している」と言われました。

――「やさしく触れる」のは操法に限らないのですね。
大内)検査の時点でもそうです。体に触れるときは常に「やさしく触れる」ということを心掛けています。

■「いまここ」を味わう!


――プライベートを含め、何かホットな話題がありましたらお聞かせ下さい。
大内)
昨年、一昨年と2回、多次元操体法を共に学ぶ仲間と富士山に登っています。言いだしっぺは私なのですが、多次元合宿というのがありまして、その合宿の宴会で隣に座っていた先生に何気なく「今年は富士山に登りたいんだけど」と話したところいっきに話が決まってしまいました。
1回目は富士の頂上に立つのが目的で、2回目は御来光を拝むのが目的でした。登るのははっきり言って「つらい」の一言です。でも、頂上に立ったときの達成感や御来光を拝んだときの感動は非日常を味わうとともに何とも言えない瞬間でした。今年もその瞬間、瞬間、「いまここ」を味わうために登ってきます!

――情景が浮かんできますね! 7月16日のセミナーを楽しみにしております。本日はご対応ありがとうございました。

講師の大内先生へのインタビュー①/7月16日開催「ほんの少しの刺激を与えるだけの多次元操体法 Ⅱ」

■セミナーの見所


――昨年に引き続き2回目のセミナーとなりますが、今年の見所を教えてください。
大内)
今回は副題として「たわめとつり合い」を上げさせていただきました。当日はワークも交えてこの「たわめとつり合い」をお伝えします。この感覚がつかめるようになると操法はバッチリ決まってきます。

――操法は絶妙な力加減が難しいと感じていました。
大内)
練習が必要ですが、この感覚を感じられるようになってから私は操法の精度が上がってきました。操体法の操法すべてに必要不可欠な感覚です。多次元操体法は技だけではありません。前回もお伝えしましたが、技の奥に隠された「触れ方や寄り添う」ことの大切さももう一度お伝えさせていただきます。

――オフレコの手技もあるそうですね。
大内)クライアントさんの首の痛みへの対応は結構むずかしくありませんか?「首に触れずに劇的に首の痛みを改善していく」という手技を当日はシェアさせていただきます。

■痛み・ズレ・歪みに対する考え方


――大内先生が「多次元操体法を学んでよかった」と実感する時はどんな時ですか?
大内)
痛みに対する考え方です。痛みは悪ではなく、何かを伝えたり、気づきを与えるため体にとって必要だから出ているものと考えます。自分の「からだとこころ」に向き合うための大切なメッセージとして捉えるのです。

――ズレや歪みに対する見方もそうでしたね。
大内
からだが少しでも楽になるよう出ていると考えます。歪むことにより体を守っているとも言えるのです。

――歪みから体が望んでいることを読み取る?
大内)体がそうすることで「何かメリットがあるのではないか」と考えます。

――参考になる症例がありましたらお聞かせください。
大内)指は動かせるのですが、「腕から先が動かせない、力が入らない」というクライアント様が来院されました。姿勢は肩を脱臼された方がとる姿勢とほぼ同じです。しかし、お話を聞く限り、また検査をしても肩は脱臼していません。にも関わらず、自動運動でまったく腕が挙がらないのです。

――腕が挙がらないとなると、カイロプラクティックでは棘上筋や三角筋の検査をしたり、頸椎を触診して異常がないか確認すると思います。原因がわからなければ、医療機関の受診をお勧めすることも考えます。どのような対応を?
大内)昨年のセミナーでデモとして披露させていただいた「歪みのある方向に、より歪ませる」という操法をやりました。「膝倒し三軸」といいます。回旋、側屈、屈曲、または背屈をその方の歪みに合わせるものです。

――あくまでも楽な方向に動かすのですね。
大内)はい。快感覚の方へ動かすのですが、これは「体はそちらに行きたがっているのだから、行かせてあげればいい」という考えだからです。この一手のみでクライアント様の腕は動かせるようになりました。当時のカルテを見返すと「耳まであと10度」と記入されていました。

――不思議です。より歪ませるようにして腕が動くようになるとは。「体はよくなるように出来ている」という橋本敬三先生(操体法の創始者)の言葉を思い出します。

2018年9月17日(月・祝)開催

病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応
~マッケンジー法の変法をご紹介~

講師 松本 斉先生
壮快カイロプラクティック

壮快カイロプラクティック/松本先生
壮快カイロプラクティック院長 松本斉先生

私は開業以来、マッケンジー法の効果に惹かれ、大川泰先生の著書や標準整形外科学第8版などを参考に、独自の視点で工夫を重ねてきました。患者さんに仮説を説明のうえ協力をお願いし、試すことで結果も検証してきました。その結果得られた結論は、「病院で分からない痛みやしびれの原因の多くは、椎間板変性が非常に多いのではないか」というものです。

近年では医学界では「腰痛の80%は原因不明」とも言われますが、実際には本当の原因不明は、私はそんなに多くはないと思っています。あくまでも仮説の域を出ませんが、私はその原因不明の多くがこの椎間板変性だと考えているのです。

医学界で原因不明とされる理由の推論については、当日に詳しく説明させていただきますが、原因不明である限り具体策はなく、従って病院では全く解決できなかったといって来院される方が非常に多いものです。逆にいえば、病院で手も足も出なかった症例を難なく解決出来たら、患者さんからは非常に高い信頼が得られます。

松本先生の施術風景
松本先生の施術風景。からだがどのようになっているか、どのような施術をおこなうか、理解していただくための説明を大切にしている。

セミナー当日は、私が普段繰り返し使っているこの【マッケンジー法の変法】を詳しくお伝えします。技術そのものは全く難しくありません。やろうと思えば素人でも出来てしまいます。難しさがあるとすれば、考え方や状況の読み方、全体のシステムとしてのまとめ方です。

私は自分が考え、実践してきた手法ですから特に難しいとは思いませんが、慣れるまでは難しく感じられるかもしれません。そんなノウハウですが、ご興味があれば詳しく説明させて下さい。そしてもし、何らかのお役に立つのであれば、使ってみてください。皆様のご参加をお待ちしております。

■開催日時


2018年9月17日(月・祝)【11:00am~4:00pm/昼休憩あり】

■内容


● 椎間板整復法(マッケンジー法の変法)構築の経緯
● 仮説の構築
● 椎間板変性の説明と発生の仕組み
● 椎間板変性の好発部位と部位別の症状
(※症状の種類を見ると整体院の需要の多くを幅広く網羅していることが分かります)
【頸椎】
 頚部痛、頭痛、目の奥の痛み、腕の痛み・しびれ、肩の痛み、胸の痛み(胸部筋肉)、喉の違和感、背中の痛み、肩甲骨の痛み、まれに歯の痛み(虫歯ではない)など
【胸椎腰椎接続部】
 胃の痛み、背中の痛み、肋骨の痛みなど
【腰椎】
 腰痛、坐骨神経痛、股関節痛、臀部の痛み、恥骨痛(産後骨盤矯正希望の方に多い)、まれに肛門の痛みなど

講師/プロフィール


江東区深川にある壮快カイロプラクティック
江東区深川にある壮快カイロプラクティック

松本 斉先生
壮快カイロプラクティック 院長
<経歴>
・ (株)学研在職中2002年4月に大川学院(本科・夜間部)に入学
・ 直営院りらっくすステーション、五反田院スタッフを経て2003年8月武蔵小山院の院長に就任
・ 2004年2月門前仲町に「壮快カイロプラクティック」開業
・ 2007年4月「三ノ輪院」OPEN
・ 2007年10月門前仲町に託児付きマンション物件「壮快カイロプラクティックformom」OPEN
・ 2010年6月託児室を本院内に移設
・ 2012年3月「三ノ輪院」閉鎖
・ 2013年3月最後のスタッフを見送って一人治療院に戻る

講師の先生が経営する院


壮快カイロプラクティック
東京都江東区深川2-5-8 クリスタル門仲一階
TEL 0120-63-5374

セミナー開催場所


大川グループ ケアシステムズ
日本カイロプラクティック医学協会 セミナースペース
東京都品川区東五反田1-6-3 いちご東五反田ビルB1F
TEL 03-3445-3895

受講料


JACM会員…無料、非会員(卒業生・一般)…1万円

■参加申込&お問合せ先


会員の皆様・・・JACM事務局のメールアドレス
一般の方・・・お問合せフォームをご利用ください。

■参加される方へのお願い


当日は動きやすい服装でお越しください。
スペースの都合上、大きな荷物などは控えていただきますと幸いです。
お着替えが必要な場合はお手洗いをご利用ください。
セミナー時のビデオ等での録音、録画は禁止しております。