中井譲治先生(カイロプラクティックあざみの院)インタビュー/セミナーの見所ほか

中井先生にいろいろなお話を伺いました。インタビュー内容をお届けします!

中井譲治先生(カイロプラクティックあざみの院)

貿易商社に勤務。大阪からニューヨークへ。

――先生のプロフィールについてお尋ねします。はじめに、前職についてお聞かせください。
貿易商社の大阪支店で化学品や天産物の輸入販売を担当していました。その後ニューヨーク支店に転勤となり、日本製のプラスティックを包装や建材用途に販売して、高機能なプラスティックを電子部品用途に売り込んでいました。
当時は日本製の電気製品や自動車が品質の高評価を得ていたので、初めてのユーザーでも日本製品と言うと興味を持ってくれたものです。日本のように会社の規模や権威ではなく、品質と価格さえ良ければ話を聞いて買ってくれる。米国のマーケットは国土のようにおおらかでオープンでした。
6年間(1984-1990)駐在しましたが、当時はレーガン大統領が強いアメリカを推進して、貿易赤字是正のため大きくドル安円高にしましたので、日本からの輸出は苦戦しました。

――お仕事の経験から世界情勢への注目度も高いと思いますが、昨今のトランプ政権の関税引き上げ政策等、どのように見ておられますか。
トランプは関税を、自国の製造業の復活のために、また最近では他国に制裁として経済的打撃を与える手段として利用しており、自由貿易を元に発展してきた世界経済秩序を破壊しています。これは世界を分断して、中国は自由貿易を掲げて、独裁主義のロシアと北朝鮮、またグローバルサウスのインドやブラジルなどと結束を強め、結果的に中国を利することになります。それでなくとも、中国はEVやAIやあらゆる先端分野でトップを目指し、工業製品は過剰生産で価格を破壊して他国産業に打撃を与え、結局世界経済を席巻し、軍事力において世界一になる勢いです。
米国内では、厳しい移民政策を取り、大学を締め付け、科学を否定し、FRBや最高裁判所に支配を強め、連邦軍を動員して、まるで独裁国家です。私が働いていたおおらかで豊かな大国の時代とは全く異なってしまい、悲しい限りです。米国は世界から嫌われ、経済も文化も衰退して行き、結局軍事力に依存して、世界大戦になるのを危惧します。

――米国での生活はいかがでしたか。あらためて日本のよさを感じたことはありましたか。
もう40年も昔のことですが、広大な国土ですから食料品や、ガソリン始めエネルギーが安価でした。家屋や庭は広く、衣食住の生活はしやすかった。反面、自動車や電化製品はでかくて故障が多く、小売店やスーパーのスタッフのサービスはひどく、治安は悪く、日本は素晴らしいと感じました。

カイロプラクターとして活躍

――カイロプラクティック院を経営するにあたり、前職での経験が活きていると感じることは何ですか。
患者さんとのコミュニケーションです。ただ、相手との距離を縮めて信頼関係を築くことが重要なのは、どの世界でも同じです。
アメリカで仕事したお陰でEnglish Speaking Chiropractorの看板を上げたのは集客に貢献しました。様々な外国の方を受け入れました。アメリカの方は、CMTを要求されることが多く、身体が大きい方には困難でした。背骨に沿って筋肉を緩和して優しく背骨を修正する方針に、理解をお願いしました。
経営面では、費用対効果を求める意識はどんな企業でも大事と思います。

――外国の方を担当する中で、日本人との筋骨格系の比較など何か発見はありましたか。
外国の方は体格のいい方が多いため、その分施術はしんどいですが、肩こりや腰痛で悩むのは全く同じで、筋肉や骨格は個性の違いはあるものの基本的に同じです。そこから起きる問題も同様で、従ってアメリカのカイロが日本でも通用する所以ですね。

――中井先生が米国で受けられたカイロプラクティックは、どのような経緯で受診することに。
デスクワークしていると腰部が痛み始め、大腿がしびれるようになり、事務所のアメリカ人に相談すると「カイロプラクティックに行け」と言われて、こわごわ行きました。ドクターは腰部を触診してスラストを入れましたので驚きましたが、なんと腰痛は解消しました。「カイロプラクティクは不可思議だが、治療効果は大きい」という強烈な印象を持ちました。

――そのカイロプラクティック治療の効果、現在のプロの視点からどのようにお考えになられますか。
40年も前のことで、良く憶えていません。若いドクターでしたが、筋肉をあまり触らなかったように思います。腰椎を触診して「何番がこのように問題がある」と言ったように思います。歪みに対しapproximate(おおよそ)ではなくspecificでスラストしたように思います。OrthodoxなStraight系の先生だったと想像します。

困難に遭遇した時にどのように考え行動してきたか

――セミナーの内容についてお尋ねします。今回は「上手くいかなかったこと」についても言及されるとのこと。失敗から学ぶことは多々あると思いますが、参加する方の参考になるだろう点をお聞かせください。
開院してからギックリ腰の患者さんからの電話は多いです。治してあげたいと全力を尽くしたものの、中には失敗したケースも数多くあります。他にも重症の脊柱管狭窄や頚部ヘルニアの患者さん、長年腰痛で苦しむ方、肩の腱板のトラブルなど、お役に立てなかったケースがあります。
このような実例を事前に聞いて知っておくことで「無理な施術を避けることができた」「事故を回避できた」「対策を考えることが出来た」と役立つことがあると思います。
私がこれらの困難に遭遇した時、どのように考え行動し、失敗から這い上がったかお話したいと思います。

――患者様からはどのような喜びのお声をいただくことが多いですか。
患者さんは治って当然と思う人が多いのでしょうか、施術後喜びを口にする人は多くはありません。肩こりや首こりの方は「気持ちよかった」、「血流が良くなって暖かい」と喜んで頂ける人もおられます。
痛みやしびれを抱えた方が、施術後「無くなった」と言われ、患者さんの主訴の治療が成功した時が、私は最も嬉しいです。
施術後の動作テストで、或いはカイロテーブルから立っていただいて、「どうですか」と問うて、「痛みが無くなった」と聞くと、ほっとします。自分の施術は間違っていなかったと、自分を褒めてやりたい。

日々の心掛け、徹している事

――あらためて、院の方針や施術、対応等で日々心がけていることをお聞かせください。
初回で喜んでもらいたいので、痛みの原因を推理して、とにかくその原因にアプローチします。施術途中で立って頂き、改善したかを確かめて、更に施術を続けることもあります。
新患さんもメンテナンスの患者さんも「血流を良くする」「免疫力を上げる」「自律神経を整える」ために、出来るだけ全身の緩和を心がけています。
患者さんは話を聞いてほしい方も多く、個人的なことも話されます。これは他の人に、特に身内の人が来られても、決して話してはなりません。有名な方が来られても、それは他人に話しません。自分のことを話すのは控えめにして、患者さんに興味を持ち「どこのご出身ですか」「運動をなさっていますか」など質問をして、話して頂く。患者さんご本人の、宗教や政治信条など、お尋ねすることは失礼だとは思いません。「話し上手は聞き上手」に徹します。

――先生ご自身、元気に過ごすうえでどのような点を重視されておられますか。
私は79才、フレイル予防のためにも、食ではタンパク質の摂取を心がけています。サプリは好みません。タンパク質を取ればそれ相当の野菜も取ります。
この仕事は肉体労働でかなりの運動量で過大になりがちで、神経を使う仕事ですから、やはりリラックスして好きな運動を楽しくやる必要があります。
健康の敵はストレスです。ストレスが自律神経の交感神経を優位にして、血行を悪化させ、免疫力を落とします。ストレスの無い人生も、不可能です。真面目で成果にこだわる人ほど、ストレスが溜まります。ストレスを如何にコントロールするかが、健康を左右すると思います。ベストは尽くして結果には拘泥しない(人事を尽くして天命を待つ)、考えても好転しない(下手な考え休むに似たり)、と自分を外から眺めること、気持ちを切り替えることでしょうか。気分転換には運動が有効です。

集客・リピートについて

――「新規集客」と「リピート対策」は皆さん共通して興味あるところですが、今回のセミナーでは、これらについてもヒントが得られると考えてよいのでしょうか。
メンテナンスの患者様は、高齢になられたり、転勤されたりで、減少して行くのは避けられませんので、集客に努める必要があります。集客方法は、最近はネット利用が中心であることは言うまでもありません。ネットでは何を利用し、何が有効と考えているか、検索順位を上げるSEOは大切ですが、私が行っている方法についてお話します。
経営維持のためには、患者さんにリピートして頂くことが必要です。patient educationをすべきについてどう考えるか、患者さんがリピートされる要素、されない要素は何か、私の考えを申し上げます。
リピートは私に対する成績表と思いますが、私がどうしようもない要素もあります。この患者さんはリピートして頂き治療を続けたいと思ってお勧めしてもそうならない場合、がっくり来ますが、どう自分の気持ちを整理するか、考えます。

実技・症状対応についても解説

――実技の実演・練習もありますが注目ポイントを教えてください。
「二指押圧」は青山1丁目カイロで学びましたが、利点は大きいと思いますので、取り上げました。どう利点は大きいのか、ご説明します。
腰椎の原因は様々ですので、原因を間違えないように、どうするかをお話しします。
頸椎の施術で、胸鎖乳突筋は重要です。患者さんは「それを触られるは初めてだ」とよくおっしゃいます。なぜ重要かご説明します。
O脚は2-3ヶ月通って頂けますので、経営的には有り難い患者さんですが、改善が容易な人と難しい人があります。それには理由があります。こちらも当日解説します。

――症例の部分でも、参考になるお話がきけるのですね。ご回答ありがとうございました。当日のセミナー楽しみにしております。