2018年9月17日セミナー開催報告②

病院では原因が分からない痛み・しびれへの対応
~マッケンジー法の変法をご紹介~
講師 松本斉先生 壮快カイロプラクティック

■椎間板後方には知覚終末が密に分布


椎間板の後方には知覚終末という神経の端っこが沢山分布しています。整形外科の先生は知覚終末についてはあまり重視していないようですが、皆さんはご存知でしょうか。『標準整形外科学』にも説明が載っています。
知覚終末は全身にあるものですが、特に背骨の後ろに密に存在します。おそらくこれは背骨の後ろには脊髄が通っていて、その部分の重要度が高いからではないかと思っています。知覚終末は「この領域に刺激が入ったら情報を拾うぞ」という支配領域を持っているのでしょう。線維輪の亀裂に髄核がはまり込んで移動してきたときに、この刺激を侵害刺激としてひろって脳に伝えます。これが痛みやしびれという症状として出ていると考えています。

腰椎の椎間板変性のテストを練習
腰椎の椎間板変性のテストを練習

■神経を主体に考えると症状と符合する


セミナー前に「痛みとしびれでは、しびれの方が症状が取れにくいことはありませんか?」という質問をいただきました。しびれの症状を筋肉の問題として対処していると、おそらくはしびれは痛みよりも残ってしまいがちであろうと思います。
私の場合は、症状については元々が神経主体で考えています。痛みもしびれも、熱いも冷たいも、痒いも、いわゆる感覚というものは全て神経を通して何かしらの刺激が加わった結果として出ているものですから、神経からよくしていくことを考えればよいと。おそらくこれは素人の方でも「それはそうだよな」と納得していただける考え方だと思うんです。
実際、しびれや痛みを神経の問題として考えれば、この椎間板変性の理論にピントがあってきます。現場で治療を重ねていると患者さんはいろんなことを訴えます。痛みだけでなく、時に「熱く感じる」「冷たい」などと言われるときもあります。痛みも熱いも冷たいも、椎間板後方の知覚終末が刺激を拾って脳に伝えているから、と考えれば符合するわけです。

■髄核が後ろに移動する要因


症状はこの神経の部分を何とかするれば回復できてしまうことが多い。具体的にどうするのか? 理屈としては非常に簡単です。知覚終末が感じるエリアから髄核をどかしてしまえばいいんです。つまり髄核を押し戻すということ。これがマッケンジー法の目指しているところだろうなと私は想像しているんです。
そもそもなぜ髄核が後ろに移動するのか? このような姿勢(実演)が多すぎるからです。要するに屈曲位です。患者さんに説明する時は屈曲位といってもピンときませんから、患者さんの日常生活で例えてあげるとわかりやすいです。
例えばPCの仕事をしている人。私はこのように、背筋を伸ばして姿勢よく仕事している人というのは一人も知らないんですよ。だいたい皆さん、腰は丸まって座っています。モニターに向ってのぞき込むように顔は前に出ますから、頭も前に突き出た姿勢になります。
この姿勢の時は、下部頸椎も下部腰椎も全部屈曲位になっています。お辞儀するような前屈だけが屈曲位ではなく、椎間板にフォーカスすれば背骨が丸まった状態も屈曲位ということです。

頸椎の椎間板変性のテストを練習
頸椎の椎間板変性のテストを練習

■常に一方通行の負担にさらされる椎間板


屈曲位が多いと何がいけないのか? 屈曲位では椎間板の前側が押しつぶされ前方の圧が高まります。圧力は高い方から低い方へ向かうという原則がありますから、椎間板内部でも髄核を前から後ろに押す力が働きます。屈曲位が多い反面、からだを反らすということは生活上ではほとんどない。椎間板は常に一方通行の負担にさらされているということです。髄核はいつも後方に押しやられますので、それで線維輪の後ろに向ってビリビリビリっと亀裂が入ってくるのだと考えます。これはほぼ100%、患者さんも「なるほど」と言っていただける説明です。
椎間板後方に亀裂が入りやすいことは、『標準整形外科学』では後方線維輪の脆弱性という言葉で表現されているんです。ですが私は組織的な脆弱性というよりも、亀裂が入りやすい要因は圧の偏りの方が割合としては多いのではないかと考えています。

姿勢について言及する松本先生 再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。
姿勢について言及する松本先生。再発予防の指導が出来るのがカイロプラクティックの強み。

■皆さんの感想


  • ふだんの臨床経験からの説明、非常にためになりました。
  • 今日はありがとうございました。マッケンジー法、いま一度思い出してやってみます。次回も楽しみにしています。
  • 理解が深まりました。ありがとうございました。
  • 説明が肝とおっしゃるだけあり、とてもわかりやすかったです。患者さんはどうなっているのかどうしたらいいのかわからなくて困っているのが一番で椎間板変性という一つのストーリーを示してくれることで「治るかもしれない」希望が出てくるのだなと感じました。どちらにせよ中が見えないものですからいかなるやり方にせよわかりやすくつながった理論は回復の大きな力になるのだと学びました。ありがとうございました。
  • セミナーの中で、どんな質問に対しても嫌な顔一つせず、他の人にも役に立つよう、話の流れにそった話に持っていかれる事に感心しました。それ自体が「説明」を大切にする治療の一つ、良い例だと思いとても勉強になりました。