■鍛えるのではなく「整える」
――今回のセミナーのテーマ「コアトレ」についてお聞かせください。
金近)「コアトレ」というのは、簡単に言いますと「からだのバランスを整える」トレーニングです。一般的な傾向として筋肉は「鍛える」ものと考える方が多いと思いますが、「鍛える」だけではどうしても機能が回復しきれない場合があります。「コアトレ」は「整える」という考え方でおこなうトレーニングで、結果、姿勢がよくなったり体調が回復します。
――どのように「整える」のですか?
金近)当院では姿勢の歪みを前面に打ち出していますので、姿勢で説明します。姿勢の歪みは「使いすぎ」ている筋肉と「使っていない」筋肉によるアンバランスで生じます。前者はオーバーユースで縮んで硬くなります。後者は逆にうまく動かないために伸びっぱなしで硬くなります。いずれも日常生活の中に原因がありそれが積み重なって出来たものです。
「使いすぎ」ている筋肉は、疲れを抜いて本来あるべきやわらかい状態に回復させる必要があります。「使っていない」筋肉は、使い方を再教育し、筋肉の質を高めて状態をよくします。

■「コンディショニング」とは
――「コアトレ」を開発された方がおられるのですね。
金近)はい。コンディショニングトレーナーの有吉与志恵先生です。普及を推進している一般社団法人日本コンディショニング協会という組織もあります。
実は「コンディショニング」というのが元々のメソッドの名前なんです。疲れを取り除いていくのを「リセットコンディショニング(Reset Conditioning)」、再教育するのを「アクティブコンディショニング(Active Conditioning)」と言います。ただ、「コンディショニング」という言葉が一般的にはあまり馴染みがないと思い、当院では「コアトレ」という言葉を使っています。有吉先生も「コンディショニング」について語った本を出版する時、当時はまだその名称が一般的ではないとのことで、代わりに「コアトレ」という名前で本を世に出していったという経緯もあります。
――「コアトレ」と「コンディショニング」は同じ意味ということですか?
金近)そういう使い方を私はしています。「コアトレ」のコアというのは、いわゆる体の軸となる部分。体幹を安定させるためのトレーニングということです。その目的に向けて筋肉のリセットや再教育をおこなう。全部ひっくるめたものが「コアトレ」で、つまり「コンディショニング」と同じと考えています。協会では厳密には違うと説明されますけどもね。
(次回のインタビュー②では、実際に「コアトレ」を試してどのような体の変化が感じられたか、どのような形で整体に「コアトレ」を取り入れておられるのか等の内容をお届けします。)