セミナー前の安藤院長へのインタビュー③/2017年10月9日開催「カラダの使い方を深める!」

■R2を入れた三つ巴の関係はバランスがとりやすい


――なるほど。一人で頑張っている治療家の先生も多いですが、心からというケースですと、「1対1」では時には厳しいことがあるといいますか、「1対チーム」の方がお互い楽なのかなとも感じます。

安藤)そう、そうなんですよ。非常に思いますね。やっぱり「1対1」というのは逃げ場がないんでね。カウンセリングでもグループで、というのがあるんです。何人か集まり、患者さん同士で自分の悩みを吐き出し聞いてもらう。人が集まった方が話しやすいというか、1対1の方がいいという患者さんも、もちろんおられるんだけれども、時に行き詰ってしまうこともあり得る。自分自身もしんどくなることがあると思います。逃げ場じゃないですが、ちょっと横にそれるにはスタッフさんがいないよりは、いた方が楽でしょうね。

――この点はチームとして経営している強みでしょうね。

安藤)実はR2【一人の患者さんを前半(R1)、後半(R2)の2人で担当するしくみ】、これが大川メソッドのとても優れているところだと思うんですよ。治療者がいて慰安者がいる、患者さんとの三つ巴の関係はバランスがとりやすいんです。
例えば、私がR1に入ってもあまり話さない患者さんがおられるんですが、R2で他のスタッフに変わった途端、ワーッと話し始めたり。患者さん自身が使い分けているというか、院をどう使うかが段々わかってくるという。
前回のセミナーでも私たちの仕事を居酒屋を例にして説明したんですが、それに近いものがあるんじゃないかと。料理屋でいえば、主人がいておかみさんがいる。主人は料理を作って出すんだけれども、それが美味しければお客さんは満足する。おかみさんに話を聞いてもらえることで心はもっと楽になる。そのような関係が院でもできるといいのかなと思います。

■アドラー心理学は患者さんのためというよりも自分のために


――卒業生の方からの相談ということに戻りますが、一人で経営されている先生も、患者さんに本当によくなっていただけるよう、いろいろと工夫されているんでしょうね。

安藤)なにより自分自身がよい状態でいることは大切ですね。「人のために!」と頑張りすぎて、いつの間にかがんじがらめになってしまっている方がたまにおられます。「疲れちゃった」という治療者の方、時々おられるんですよ。「最近治療に入りたくなくて・・・、来て下さるのは嬉しいけど・・・」って。
「まずは休みなよ」と言いました。「予約も別に断ってもいいんだし、それは自分でバランスをとっていいんだよ」と。自分の時間も作るべきだと思いますよね。ただ一心不乱にやるんじゃなくて。継続していくには、心にゆとりが持てるくらいのペースの方がいいのかもしれません。

――施術者はいつも、よい心の状態を保っていたいものです。

安藤)結果が出ないと「まだ足りない!」って自分を責めてしまうことがあるんです。アドラー心理学は、どちらかといえば患者さんのためというよりも自分のためになると思います。私は自己受容という言葉を最初に聞いて勉強をはじめたんですが、自分自身すごく責めてしまうところがあるんです、「まだまだっ!」「出来てないっ!」って。それで段々と自分を傷つけるようになり、しまいには他人に対してもそういう言葉を吐いてしまったりする。
まずは自分を傷つけない、自分に対し厳しくしすぎないこと。それらをアドラー心理学で学ぶと非常に楽になれます。実はそっちの方がうまくいったりするんですよ。
学生時代、運動部などを経験しているとつい自分を虐めてしまうんです。短期的にはいいんだけれども長期的にはもたないですね。ついつい自分に厳しくする習慣を患者さんに押し付けてしまったりもする。お互いに「これぐらいでいいんだよ」というくらいの方がいい関係性が保てることがあります。疲れないし楽ですし、そのようなことをアドラー心理学から活かしていますね。

■考え方、見方を変える。当たり前のことを見直してみる


――アドラー心理学はこの数年ブームになっていますが、求めている人が沢山いるということなんでしょうね。

安藤)非常にシンプルなんですよ、内容は。フロイトやユングのように難しくない。個人心理学といって自分自身の在り方を変えれば変わってくるよという、哲学に近いのかな。寛容になるというか、受け入れやすくなるといいますか、自分自身をダメ出しするんじゃなくて「まぁいいんじゃない」と。

――本で読むだけでも違いますか?

安藤)違いますね。難しいことを勉強しなくても読むくらいでもいいと思います。性格は変えられなくても、考え方、見方を変えるだけで違うと。当たり前のことなんですけどね。その当たり前のことを見直してみるんです。それがまた、いろんな人の話を聞いてみると「それ仏教にもあるよ」と言われました。アドラー心理学は東洋的な思想にも近いんでしょうね。
このようなことも当日はお話します。「体の使い方を深める」といいましたが、体と心は一緒と考えれば、心の部分を深めるというのもありではないかと。

――なるほど。お話が思いがけず臨床でのとても興味深い部分にも入りました。セミナーが益々楽しみになりました。本日はお忙しい中、ご対応いただきありがとうございました。